カテゴリー別アーカイブ: 建物明け渡し請求

離婚の話し合いの最中に配偶者の親族から退去を求められたら

前回は、「離婚の話し合いの最中に夫婦の一方が所有する家に住むことはできるのか?」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/831

前回に引き続き、離婚協議に伴い、同居していた建物からの立ち退きに関するトラブルについて取り上げたいと思います。

今回は、配偶者の所有する建物ではなく、配偶者の両親などの親族が所有する建物に夫婦で居住していたところ、夫婦間で離婚協議が行われることになった場合に所有者である配偶者の親族から立ち退きを求められた場合について取り上げます。

〈事例〉

私(夫)は、妻と一緒に妻の父が所有する家に同居していましたが、このたび妻と離婚することになり、その話し合いの最中において、妻の父が私に直ちに家から立ち退くよう求めています。

この場合に、私は妻の父の要求に応じて直ちに立ち退かないといけないのでしょうか?

 

〈結論〉

過去の裁判例において、夫婦間の離婚協議中に使用貸借契約の解除を理由として無条件に即時明け渡しを求めることは、権利の濫用という意味で時期尚早であり、解除の意思表示の効力は夫婦関係の解消によって確定的に生じると判断されています。

 

〈解説〉

1.事例において、夫が妻と一緒に妻の父が所有する家に同居することは、妻の父との関係では使用貸借か?

使用貸借が何かについては、前回の記事で取り上げましたのでそちらをご確認ください。

この事例において、夫が妻と婚姻期間中に妻の父の所有する家に同居することは、夫と妻の父の関係は使用貸借契約に該当します

 

2.夫は、妻の父の所有する家からはいつ立ち退かなければならないか?

配偶者の親族の所有する家において夫婦が同居する場合に、使用期間や使用目的を定めていないことが一般的ですので、上記事例でいう夫(借り主)と妻の父(貸し主)との関係が使用貸借契約だとすると、法律上、妻の父はいつでも夫に使用貸借契約を解除して夫に立ち退きを求めることが可能となり、夫はこれに応じなければならないということになります。

しかし、裁判例においては、夫婦間で離婚訴訟が係属している場合に、配偶者の親族から使用貸借契約の解除をされた場合には、借り主にとって酷であるので、権利濫用の意味で時期尚早であるとして、その解除の効力を離婚訴訟の判決が確定して、夫婦間の婚姻関係が解消したときに解除の効果が確定的に生じるとしています。

この裁判例の趣旨からすると、本件の事例の場合でも同様の事が考えられ、夫は妻の父からの立ち退き要求に直ちに応じなければならないというわけではなく、正式に離婚が成立するまでは立ち退きの義務は生じないと考えられそうです。

 

次回は、「借地権の買取を求められたら」というテーマでブログを書きます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/846

 

いつもありがとうございます。

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離婚の話し合いの最中に夫婦の一方が所有する家に住むことはできるのか?

前回は、「シェアハウスの活用と契約上の注意点」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/821

今回は、夫婦のうちの一方が所有する建物に配偶者が同居する場合に、その夫婦が離婚することになり、それに向けた話し合いが進められている場合に、家の所有者でない方の配偶者は出ていかなければならないのかということについて取り上げます。

〈事例〉

私(妻)は、夫が所有する家に同居していましたが、このたび離婚することになり、離婚の話し合いの最中において、夫が私に直ちに家から立ち退くよう求めています。

 

〈結論〉

過去の判例においては、離婚が成立するなど婚姻関係が解消されるまでは、同居して家を利用する権利があるので、それまでは立ち退く義務はないと判断されています。

 

〈解説〉

1.事例において、夫が所有する家に妻が同居することは使用貸借か?

使用貸借とは、貸主から無償で物を借りることをいいます。

物の返還時期が定められていれば、借主はその時期に返還しなければなりません。

返還時期が定められていなくとも使用目的が定められていれば、使用目的に従った使用及び収益が終わったときに返還しなければならず、使用目的も定められていなければ、いつでも貸し主の返還請求に応じなければなりません。

それでは、上記事例のように、夫が所有する家に妻が同居することは使用貸借になるのでしょうか。

この妻が夫の所有する家を利用する点については、特に特別の事情もない限り使用貸借と考えるのではなく、婚姻から生じる権利と考えられています。

夫婦は同居義務があるとともに相互に扶助する義務があるので、妻は夫と同居する家を利用する権利があり、夫が所有する家を使用することができます。

 

2.夫の所有する家からはいつ立ち退かなければならないか?

夫が所有する家を利用する権利が婚姻から生じる権利であるということから、婚姻関係が解消されたときには、その利用する権利が当然に消滅すると考えられており、婚姻関係が解消されたときには夫の所有する家から立ち退かなければなりません。

そのため、離婚に向けた協議中であったり、調停手続き中など、正式に離婚が決まっていない状態ではまだ家を利用する権利は消滅していないので、本事例の場合は直ちに立ち退く必要はなく、正式に離婚が決まったときに立ち退くことになります。

 

次回は、「離婚の話し合いの最中に配偶者の親族から退去を求められたら」のテーマでブログを書きたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/835

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解約の申し入れを理由とした建物明け渡し請求が認められました。

前回は、仮処分命令の申立の際に納める供託金の払い戻しについてブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/karisyobun/629

建物の老朽化に伴い建物の解体を考えているため、入居者の立ち退きを考えているというオーナー様から相談があり、建物明け渡し訴訟を提起していました。

その賃貸借契約は、定めていた賃貸借期間が満了し、その後入居者の方が、更新契約に応じていただけなかったことから同じ内容で賃貸借契約が法定更新され、期間の定めのない賃貸借となっていました。

入居者の方は家賃滞納はなかったため、一般の賃貸借の解除をすることができなかったため、賃貸人がその建物を利用したいとする正当事由(老朽化に伴い建物の解体の必要性)があることを根拠に、事前に解約の申し入れをして6か月以上経過した上で訴訟を提起しました。

解約の申し入れについてはこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/152

この事案は、賃貸人がその建物を利用したいとする事情(正当事由)と賃借人がその建物を利用したいとする事情(正当事由)の比較と、立ち退き料、信頼関係の破壊の有無などがポイントとなった事案でした。

私は賃貸人の代理人として出頭して、賃貸人の正当事由(建物老朽化に伴い解体を考えていること、現状のままだと風災などにより看板、網戸などが外れ、近隣あるいは通行人に危害を加えるおそれがあること)があることを主張しました。

このような事案は、一般的には賃貸人側が不利になることが多く、さらに今回の賃借人は居住用だけではなく事業としても建物を利用していたということもあり、判断がどうなるかと思っていましたが、過去に風災でニュースになったこともあるエリアだったりしたことも影響したのか、正当事由があり、有効に賃貸借契約が終了していることが認められ、勝訴判決を得ることができました。また無事に判決も確定しました。

問題はこの後に入居者の方がスムーズに退去してくれるかどうかが問題なのですが・・・

やはり、事業目的で建物の賃貸借契約をするなら、その建物の築年数によっては定期借家契約をしておいた方が無難だと感じました。

 

次回は、東京司法書士会中野支部で建物明け渡し請求の研修講師をしてきたことについてのレポートについて書きたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/seminar/646

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暴力団関係者との賃貸借契約を避けるために必要なこと

前回は、入居中の外国人が帰国してしまったらというテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/615

今回は、暴力団関係者との賃貸借契約を避けるために必要なことというテーマでブログを書きたいと思います。

賃貸物件の一室を暴力団関係者が利用していることで、他の関係者が出入りするようになり、その他の部屋の借り主に割り当てられた駐車場に常習的に違法駐車したり、近隣住民へ暴言・嫌がらせをするといったことがあります。

その結果、その他の部屋の住民は退去するようになり、収益力が低下し、さらに建物自体の資産価値も減少するおそれがあります。

暴力団関係者が賃貸借契約を結ぼうとするときは、他の人間を介して賃借人としたり、使用目的を隠したままにすることがありますので、賃貸借契約締結時にはその建物の利用者が暴力団関係者なのかどうか分からないことが多いです。

そこで、できる限り暴力団関係者との契約を避け、または契約後に明け渡しを有利に進めるためにも、そのような者らしい方との賃貸借契約締結時には、次の点を確認する必要があります。

1.本人確認

賃貸借契約をして入居する賃貸人と、保証契約をする保証人の本人確認をしてください。具体的にはその者らが契約書に押捺した印鑑の印鑑証明書、運転免許証の写しの提出を求めましょう

ちゃんと家賃を払い続けることができるか資力の確認も兼ねて、給与明細書や源泉徴収票などの提出を求めてもいいと思います。

2.賃貸借契約書の中に暴力団排除条項を設けること

契約者が暴力団関係者である場合には賃貸借契約を締結しないこと、あるいは、契約後に暴力団関係者であることが判明した場合に契約を解除して明け渡しを求めることができるように、賃貸借契約書の中に、暴力団排除条項を設けておくと良いでしょう。

参考として、国土交通省が賃貸住宅標準契約書の中に掲げている暴力団排除条項のサンプルとリンクを下に挙げておきます。

このような条項を定めた上で賃貸借契約を締結し、その条項違反の事実が判明すれば信頼関係が破壊されているという事情となりますので、賃貸借契約の解除が有効と認められやすくなります。

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(反社会的勢力の排除)

第7条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。

一 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。

二 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと。

三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。

四 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。

ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為

イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000019.html

 

次回は、供託金の払い戻しの際の代理人名義の振込についてブログを書きます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/karisyobun/629

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入居中の外国人が帰国してしまったら

前回は、直ちに明け渡しを求めたいときはというテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/karisyobun/606

今回は、外国人に借家を貸していたところ、契約の途中で鍵を返すこともなく、自分の国に帰ってしまった場合にどのようにしたらよいかについて取り上げたいと思います。

当事務所によく相談のあるケースとしては、

「外国人を入居させていたのですが、突然家賃を滞納するようになり、現在は保証会社から立て替えをしてもらっています。保証会社の担当者の方が様子を見に行っていただいたところ、荷物も全部持っていって部屋は空っぽにしているのが見えたとの事でした。電気もガスも止められているし、もう既に引き払っていると思うとのことでした。ただし、鍵を返してもらっていないので、賃貸借契約をこのままにしておいていいのかどうか分かりません。」

といったものです。

こういった場合、一般的にはその入居者の外国人から鍵の返還を受けていないので、明示ないし黙示の賃貸借契約の終了があったとは言いにくいと考えられます。

そこで、その入居者がどこに行ったかを調査するのですが、調査した結果、

転居先が分かれば、転居先を住所地として建物明け渡し請求の訴訟をすることを検討します。

転居先が分からなければ、裁判書類の公示送達をすることを前提として建物明け渡し請求の訴訟をすることを検討します。

参考→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/310

問題は、どのように調査したら良いかと、その調査の結果、転居先が母国であることが判明した場合です。

調査はまず住民票を取得して転居の届出をしているかどうかを調査することから始めます

平成24年7月8日までは、外国人登録原票記載事項証明書というものが発行されていましたが、現在は住民票の写しによって証明されます。

そして、その住民票の住所の異動を確認しますが、これが外国であると国名までしか書いていないので、出国先の住所を調べることはできません。

そのため、出国先の住所まで調べる必要があるのであれば、法務省入国管理局が管理している出入国記録の照会をして調査することになりますが、その照会は裁判所からするため、別途申立等の手続が必要になります。

さらに、その調査の結果、出国先の住所が分かれば、そこを住所地として建物明け渡し訴訟を起こしますが、外国の住所地宛てに裁判書類の送達手続をするのはとても時間がかかり、その方法も容易ではないので一度専門家に相談して進める方が良いでしょう。

 

次回は暴力団関係者との賃貸借契約を避けるために必要なことというテーマでブログを書きます。

その記事→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/622

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借家の立ち退き料の相場は?

前回は収益物件の実質利回りを計算方法について取り上げました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousantoushi/532

最近は、家賃滞納による解除以外の原因での建物明け渡しのご相談をよく受けるようになりました。

特に期間満了解約の申し入れを原因とする事案が多いです。

いずれの事案も賃貸人側に明け渡す必要性(正当事由)が必要になるほか、その正当事由を補完するために一定の立ち退き料の提供が必要になる場合があります。

今回はその借家の立ち退き料についてご説明したいと思います。

1.正当事由の存在が前提であること

立ち退き料の提供は、それのみでは正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補完しあって正当事由の判断の基礎となるものとされておりますので、正当事由の存在が前提となります。

2.立ち退き料の提供の性質

立ち退き料は、

① 移転を伴うことで賃借人が支払わなければならなくなる費用(引っ越し費用、新しい賃貸物件を借り入れるために必要となる敷金・礼金、旧賃料との差額など)の補償

② 移転することで失われる賃借人の利益(間取り、通学通勤条件等の悪化、営業上の損失など)の補償

などの性質があると考えられています。

3.立ち退き料の相場は?

提案する立ち退き料は、事案ごとにケースバイケースですので、計算方法というのはありません。

例えば、居宅と店舗では、店舗の方が営業補償の観点を考慮する必要があるので、明け渡しを求めることで賃借人にとって負担が大きいのは店舗になりますので、その結果、立ち退き料も店舗の方が高額になります。

また、居宅の立ち退きの場合であっても長期間一定地域において生活した基盤を失わせることになる場合には、精神的慰謝料的な補償を必要とする可能性も出てきます。

そのため、具体的には個々の事案に応じて、立ち退きをすることでどのような損失があるかを考えて算出するしかありませんが、一般的には賃料の6か月から1年分の価格と言われています。

4.失う借家権の補償について

借地権は譲渡性があることから、借地権の取引においては、借地権価格(借地権の財産的価値・経済的利益の価額を示すもの)を用いることがあり、立ち退き料の算定の基礎として考慮されることが多いです。

一方、借家権の場合にも「借家権価格」というものがありますが、借家権は借地権と異なり譲渡性に乏しく、取引の対象となることが少ないことから、実際の裁判においても借家権価格の鑑定をすることは少ないです。

また、賃貸人側に賃貸借契約を終了させるのに正当事由がある場合において、実際の立ち退きに伴う費用等に比べて、借家権価格を基礎に算定された立ち退き料の方が高額になるような場合に、立ち退き料を借家権価格によって算定しないとする判例もあることから、あくまでも借家権価格は立ち退き料の算定のための参考資料の一つにしかならず、立ち退き料によって借家権価額が補償されるわけではないと考えられそうです。

 

次回は、保証会社との間の保証委託契約書の契約条項の注意点について取り上げます。

その記事はこちら→ http://k-legal-office.com/blog/yachintainou/544

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一時使用のための賃貸借契約とは

前回は、引き渡し命令の相手方となる不動産の占有者についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/484

今回は、一時使用のための賃貸借契約について取り上げたいと思います。

建物を所有する目的で土地の賃貸借契約をする場合には、その期間は最低30年以上必要です。

そのような場合であったとしても一時使用のためであればその期間制限はありませんので、30年を経過していなくとも、賃貸借契約で定めた一時使用期間が満了すれば終了します。

このように、賃貸借契約が一時使用の場合には早期に賃貸借契約を終了させることができます。

それでは、以下解説します。

(解説)

1.一時使用のための賃貸借契約とするためには

一時使用のための賃貸借契約とするためには次の要件を満たしている必要があります。

① 賃貸人と賃借人の間で賃貸借契約を短期間に限って存続させる旨合意したこと

② 一時使用のためのものであることを基礎づける事実

一時使用のための賃貸借契約といえるためには、当事者間の合意、期間の長短だけではなく、契約に向けた動機、賃貸物件の利用目的、賃貸物件が土地である場合にその地上に建てられている建物の種類、設備、構造など諸般の事情が判断材料となります

具体例としては、天変地異・火災等の後に応急的に仮設建物を建てる目的で設定された借地権などが挙げられます。

そのため、一時使用となるためには賃貸期間が1年未満でなければならないということはないし、判例においても賃貸期間が3年であっても一時使用と認めている例もあります。

2.建物賃貸借契約における一時使用

以前、普通借家契約において、賃貸借契約を期間満了で終了させ明け渡しを求める場合と、法定更新されて期間の定めのない賃貸借契約となったため解約の申し入れをして終了させ明け渡しを求める場合について取り上げたことがありました。

いずれの場合も、更新拒絶ないし解約の申し入れには、賃貸人の正当事由、立ち退き料の提供などが必要になりますが、一時使用目的のための建物賃貸借契約であれば、そのような事情が不要となります。

一時使用とする賃貸借契約を締結するのであれば、土地の賃貸借契約であっても、建物の賃貸借契約であっても、賃貸人と賃借人の間で契約前に一時使用であることにより、以上のような効果が生じることを認識し、契約書とは別の覚え書き等で明確にして、後日トラブルにならないようにすると良いでしょう。

 

次回は、賃貸物件の現況調査について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→ http://k-legal-office.com/blog/karisyobun/495

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引き渡し命令の相手方となる不動産の占有者とは

前回は、競売手続における引き渡し命令の申立について取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/475

今回は、前回の記事の中で触れた、引き渡し命令の申立の相手方となる不動産の占有者について取り上げたいと思います。

1.引き渡し命令の相手方となる不動産の占有者とは

競売手続の事件記録上、抵当権者、差押債権者等に対抗することができる占有権原(地上権、賃借権等)を有していると認められる占有者以外の占有者

になります。

不法占有者がこれに該当することはもちろんですが、占有権原を有している占有者の場合は、抵当権者、差押債権者等に対抗することができかを考える必要がありますので更に細かく説明します。

2.抵当権者、差押債権者等に対抗することができる占有権原とは

競売物件には抵当権等の担保権が設定されていることが多いです。また、一般の債権者や国から、債権回収のためあるいは公租公課の徴収のために、差押あるいは仮差押がなされていることも少なくありません。

それらの担保権や差押・仮差押の効力は、その担保権設定時・差押の効力発生時における不動産の担保価値を把握するものですので、その時点で、占有者が存在する物件ならば占有者が存在する物件として、占有者が存在しない物件であれば占有者の存在しない物件として担保価値を把握しています。

そして、一般的には占有者の存在しない物件の方が、借地権割合を考慮しないので担保価値が高い物件となります。

そのため、占有者の存在しない物件に担保権を設定あるいは差押等をした後に、占有者が存在することになったとしても、担保権者等は占有者に対して、その担保権あるいは差押の効力が、その占有者の占有権原(地上権・賃借権等)に優先することを主張できることになります。

この場合の占有者は、引き渡し命令の申立の相手方となる競売手続の事件記録上、抵当権者、差押債権者等に対抗することができる占有権原(地上権、賃借権等)を有していると認められる占有者以外の占有者」に該当します。

逆に、占有者の存在する物件に担保権を設定あるいは差押をした場合には、担保権者等は占有者が存在することを認識して担保価値を把握しているのだから、その占有者の占有権原は担保権あるいは差押の効力に優先します。この担保権・差押の効力に優先する占有権原のことを、対抗することができる占有権原といいます。

3.対抗することができる占有権原かどうかを見分ける方法

(1)占有権原が賃借権(登記なし)の場合

①建物所有の借地の場合は、建物への保存登記と土地への抵当権設定登記あるいは差押(仮差押)登記の先後によって優劣を決します。

②借家の場合は、建物の引き渡しのあったときと建物への抵当権設定登記あるいは差押(仮差押)登記の先後によって優劣を決します。

(2)占有権原が地上権・賃借権(登記あり)の場合

地上権(賃借権)設定登記と抵当権設定登記あるいは差押(仮差押)登記の先後によって優劣を決します。

 

次回は、一時使用のための賃貸借契約について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→ http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/489

 

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競売手続における引き渡し命令の申立について

前回は、強制執行における目的外動産の売却について取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/kyouseisikkou/464

今回は、競売で取得した不動産の占有者に対する引き渡し命令の申立について取り上げさせていただきます。

1.引き渡し命令の申立とは

不動産競売手続において売却許可決定が確定し、代金を納付することによって、買受人は競売物件の所有権を取得します。

一方で、競売物件を占有している債務者(元所有者)は占有権原(所有権)を失いますので、買受人は、債務者(元所有者)に対し、所有権に基づく引き渡し請求権を有することになります。

また、抵当権者、差押債権者等に対抗することのできない用益権(地上権、賃借権等)は、売却により消滅するため、消滅する用益権を根拠に占有していた者は占有権原を失い、買受人は、債務者(元所有者)に対し、所有権に基づく引き渡し請求権を有することになります。

これらの占有者が任意に不動産の引き渡しをしない場合、本来であれば、建物明け渡し請求などの訴えを提起して判決等(債務名義)を取得し、強制執行手続を行うべきでありますが、それに要する時間、費用を考えると、買受希望者を広く募ることが困難になってしまうため、競売手続の中で簡易迅速に明け渡しの債務名義を取得することができるよう、引き渡し命令の申立を行うことができます。

2.引き渡し命令の申立時期について

買受人が代金を納付してから6か月以内に申し立てる必要があります。

ただし、順位番号の一番古い抵当権設定時期よりは遅れるものの、競売手続開始前に建物賃貸借契約を締結して居住していた入居者に対して、引き渡し命令を申し立てる場合は代金を納付してから9か月以内に申し立てる必要があります(賃借人は、代金納付から6か月以内は引き渡しをしなくてもよいため、申立期間が長くなります。)。

3.申立人について

代金を納付した買受人又はその相続人等が申立人になります。

買受人から転売等で譲り受けた者は申立を行うことができませんが、そのような場合でも、買受人は申立権を失うことはありません。

なお、買受人が目的不動産の占有を取得したり、占有者に対して占有権原を付与した場合は、以後、申立権を失いますので注意が必要です。

4.相手方について

 (1)債務者(所有者)

債務者(所有者)は、実際にその競売物件を占有していなくても、引き渡し命令を発することができます。

破産手続中で破産管財人が選任されているようであれば、破産管財人が相手方となります。

(2)不動産の占有者

競売手続の事件記録上、抵当権者、差押債権者等に対抗することができる占有権原(地上権、賃借権等)を有していると認められる占有者以外の占有者は相手方となります。

抵当権者、差押債権者等に対抗することができる占有権原を有していると認められるか否かについては、あらためて詳しく取り上げたいと思います。

次回は、引き渡し命令の相手方となる不動産の占有者について取り上げます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/484

 

いつもありがとうございます。

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承諾のある転貸借契約における転借人に対する建物明け渡し請求

前回は、賃貸借契約が解除されると承諾のある転貸借契約はどうなるか?ということについてご説明させていただきました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/375

今回は、承諾のある転貸借契約における転借人に対する建物明け渡し請求についてご説明させていただきます。

1.転借人に対する建物明け渡し請求の可否

前回、ご説明させていただきましたとおり、賃貸人による承諾がある転貸借契約が成立した場合に、賃貸人と賃借人の間の賃貸借契約が賃借人の賃料不払等の債務不履行を理由に法定解除されると、転借人は、転借権をもって賃貸人に対抗することができなくなります(転借権の基礎となる賃借権が消滅するため。)。

そのため、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借契約の解除に基づき、転借人に対しても建物明け渡し請求をすることができます。

そして、判例においては、この転借人に対して目的物の返還請求(建物明け渡し請求をした時)をもって、賃借人(転貸人)と転借人の間の転貸借契約は履行不能により終了するとされており、以後、賃借人(転貸人)は転借人に対し、転借料を請求することはできなくなります。

2.賃貸人による転借人に対する転借料請求の可否

一般的には、賃貸人は賃借人(転貸人)に賃料請求をして、賃借人(転貸人)は転借人に転借料請求をしますが、承諾のある転貸借契約をした場合には、転借人は賃貸人に対して直接義務を負うことになりますので(民法613条1項)、賃貸人は転借人に対して転借料を請求することもできます

この賃貸人の転借人に対する転借料請求の額は、

賃貸人が賃借人(転貸人)に対して請求することができる額(賃借料)と、賃借人(転貸人)が転借人に対して請求することができる額(転借料)の両方の範囲内になります

転借人がこの転借料請求に応じて、転借料を直接賃貸人に支払うことで、その額の範囲内で賃借人(転貸人)に対する賃料支払義務を免れます。つまり、事実上、その範囲で転借人が賃借人(転貸人)に代わって原賃貸借契約の賃料を支払っていることになります。

このことは結果的に、賃借人(転貸人)の債務不履行を防ぐことにつながるのですが、前回もお伝えしたとおり、賃貸人には転借人に対して転借料を請求する権利はあっても、請求しなければならないという義務はないので、請求しないことで告知せず賃借人との間の賃貸借契約を債務不履行に陥らせて解除させ、間接的に転借権を消滅させることも可能と考えられます。

 

次回は支払督促による滞納家賃の回収について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/yachintainou/398

 

いつもありがとうございます。

この記事を読んで「自分のケースならどうなるか知りたい」という方は、相談予約フォームからお問い合わせください。