前回は生活保護者の家賃滞納について取り上げました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/282
今回は賃貸借契約の更新について取り上げていきたいと思います。
賃貸借契約の更新には、大家さんと借り主の間で更新契約をする「合意更新」と、賃貸借契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をされず、かつ、大家さんと借り主との間で更新に関する合意がない場合に自動的に同一条件(ただし、期間については定めのないものとなります。)で更新される「法定更新」があります。
更新拒絶の通知に関してはこちらを参考にしてください。
このような更新の際に、借り主は大家さんに対し更新料を支払うことがありますが、
1.賃貸借契約書には、契約の更新をする場合には、借り主が更新料を支払う旨の条項があるかどうか?
2.法定更新された場合には更新料を請求することができるのか?
の点には注意が必要ですので、これらの点について解説します。
(解説)
1.賃貸借契約書に、契約の更新をする場合には、借り主が更新料を支払う条項があるかどうか?
更新料の支払い請求権は、賃貸借契約そのものや、賃貸借契約の慣習から認められたものではありませんので、大家さんと借り主との間で賃貸期間の満了にあたり、契約の更新をする場合には更新料を支払う旨の合意があることを根拠に認められるものです。
したがって、賃貸借契約書あるいは合意書などの中で、そのような合意が定められていることが必要です。
2.法定更新された場合に更新料を請求できるかどうか?
当初の賃貸借契約においては、更新料の支払い条項を定めていたものの、特に更新拒絶の通知をせず、かつ更新の合意をしなかったため賃貸借契約が法定更新されたような場合に更新料を請求できるか?という点については、肯定される場合もあれば否定される場合もあり判断が分かれています。
その当事者間で合意した更新料の性質が、
「低く設定した家賃の補充」としてとらえられるなら、肯定されやすく、
「更新拒絶権を放棄することの対価」とか「更新契約をすることで、期間の定めのある賃貸借契約となり、解約申し入れをすることができなくなることの対価」としてとらえられるなら、否定されやすい
とされています。
解約申し入れについては、こちらを参照してください。
また、これらの点以外の事情も加味されて判断されるため、契約書に更新料に関する合意があるというだけでは更新料を請求できない場合もありますので、お悩みでしたら一度専門家に相談されるのがよいと思います。
次回は借り主に相続人がいない場合の取り扱いについて取り上げたいと思います。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/297
いつもありがとうございます。