家賃滞納」カテゴリーアーカイブ

家賃滞納者の合意書・念書・誓約書の必要性

前回は、借り主が破産した場合、賃貸借契約の解除ができるのか?滞納家賃、賃料相当損害金、敷金はどうなるのか?について取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/271

今回は、借り主の家賃滞納期間が経過している場合に、事を荒立てたくないと法的手続に進むことを躊躇している大家さんにせめてしておいていただきたい最低限のことについてお話しさせていただけたらと思います。

家賃滞納が発生したら、どのように対応するかについては、以前、連帯保証人に対する請求の時にブログで取り上げさせていただきました。

参考→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/157

口頭で催促したりすることはあっても、借り主から懇願されたりすると、内容証明郵便を送付するなどといった法的手段に進むことを躊躇することがあるかと思います。それにちゃんと今後払ってくれそうなら、解除して明け渡しを進め空室にするより、賃料収入を確保できる方がよいと考える方もいらっしゃいます。

そういう場合であっても、無期限で待ってあげたりすることは、大家さんにとっても借り主にとってもよくないので、ちゃんと話し合って、滞納賃料をどのような期間でどのように支払っていくか、それでも払わないときはどうするかを決めて、念書や誓約書などの書面の形で残してください。

文面の例としては、

「私は、貴殿から賃借している△県◇市○番地所在の建物(アパート名 ○○)の○○号室の平成○○年○○月から平成○○年○○月の間の滞納賃料○○円を、平成○○年○○月から平成○○年○○月まで毎月○日限り○○円ずつ分割して支払います。この支払を怠ったときは何らの催告を要せず賃貸借契約を解除することに異議はありません。解除された場合には、建物を明け渡します。」

という形が一般的に多く使われています。

こういう形を取っておくことで、過去の滞納賃料の存在を認めることになり、滞納賃料の時効期間の進行を止める効果があり、最終的に法的手段に進む場合も強い証拠になります。

なお、合意書・念書・誓約書を公文書とする方法については下記リンクをクリックして参照してみてください。

公文書とする方法→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/410

 

次回は、生活保護者の家賃滞納について取り上げて行きます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/282

 

いつもありがとうございます。

オーナーチェンジがあった場合の敷金、滞納家賃

前回は、敷金の滞納家賃等への充当についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/254

今回は、賃貸借契約中に建物の所有者が変わった事で賃貸人に変動があった場合(オーナーチェンジ)に、預かっている敷金や滞納家賃はどのように承継するかについてご説明させていただきます。

建物の所有者が変わると、これまで所有者であった大家さん(旧賃貸人)の立場は、新しい所有者(新賃貸人)に承継されます。

そして、敷金、滞納家賃については次のような取り扱いをする必要があります。

 旧賃貸人に差し入れられていた敷金は、旧賃貸人に対する借り主の債務があればその債務に充当され、その残額が新賃貸人に承継されます。

② 旧賃貸人が借り主に対して有する滞納家賃債権は、新賃貸人に対して当然には承継しませんので、承継するのであれば債権譲渡の手続が必要になります。

 

1.承継する敷金について

借り主が旧賃貸人に差し入れていた敷金が、オーナーチェンジがあったときに借り主の債務と充当されるのは、旧賃貸人と借り主との間の賃貸借契約が終了し、その清算の過程の中で借り主の債務(滞納家賃等)を担保(敷金)により回収させる必要があるためです。

充当後の敷金残額が新賃貸人に引き継がれるのは、敷金が賃貸人のための担保として密接に結びつくものであることから、賃貸人の地位の移転とともに担保も移転を伴うべきであるためです。

そのため、賃貸借契約終了後明け渡し前に、オーナーチェンジがあった場合には、新賃貸人のための担保としての実益がないので、旧賃貸人と新賃貸人の合意のみでは敷金が承継しませんので注意が必要です。

 

2.旧賃貸人の滞納家賃債権について

オーナーチェンジがあると、旧賃貸人と借り主の賃貸借契約は終了します。旧賃貸人と借り主との関係で生じた債権債務関係は賃貸借契約終了後も継続するため、旧賃貸人は所有者でなくなったとしても滞納家賃請求をすることができます。

未払家賃債権は敷金とは異なり、新所有者に承継されないので、承継するには債権譲渡手続を行う必要が出てきます。

 

Q:借り主側に変動があった場合(賃借人の変更)があった場合、旧賃借人が差し入れていた敷金はどうなりますか?

A:旧賃借人が差し入れていた敷金は新賃借人に承継されません。

賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転するには大家さんの同意が必要になります。大家さんが同意した結果、賃借権の移転があると旧賃借人との賃貸借契約は終了します。そしてその清算の中で敷金に関しても債務に充当したり、返還したりすることになります。

承継するには、旧賃借人の債務を充当した敷金残額について、旧賃借人と新賃借人との間で債権譲渡手続をするか、旧賃借人が先に交付している敷金をもって、新賃借人の賃貸借契約における担保とする合意をする必要があります。

次回は、原状回復費用についてご説明させていただきます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/266

 

いつもありがとうございます。

敷金の滞納家賃等への充当について

前回は、滞納家賃の時効について説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/247

今回は敷金の滞納家賃等への充当について取り上げさせていただきます。

敷金とは、不動産の賃貸借契約において、借り主の債務を担保するために大家さんに交付される金銭のことです。

そのため、借り主に家賃の滞納があるときは、この敷金を充当することができます

一方で、借り主に賃貸借契約から生じた債務がない場合には、賃貸借契約が終了し建物を明け渡したときにはその敷金を返還しなければなりません

この敷金の充当と敷金の返還についての注意点を説明させていただきます。

 

1.敷金の充当について

(1)充当できる借り主の債務について

滞納家賃、賃料相当損害金、保管義務違反による修理費用、原状回復費用などと充当することができます。

敷金は、原状回復費用への充当で問題になるケースが多いです。原状回復費用の問題については別の記事にてあらためて取り上げさせていただきます。

(2)充当の時期

①賃貸借契約存続中の場合(主に滞納家賃債務への充当)

大家さんは、賃貸借契約中に家賃の滞納があれば、契約が終了前であっても充当することができます

一方、借り主からは、滞納家賃と敷金を充当することを主張することはできません

(大判昭和5.3.10)

もっとも、大家さんとしては、充当しなければならないわけではないので、滞納家賃から敷金を控除しないで催告することも可能です(最判45・9・18)

②賃貸借契約終了時の場合

賃貸借契約終了後、建物の明け渡し完了の時までに生じた債務に当然に充当されます。

(3)充当するための意思表示の要否

敷金は借り主の債務に当然に充当されるため、大家さんから借り主に対して、「滞納家賃と敷金を相殺する。」といったような意思表示をする必要がありません

後述しますが、借り主の敷金返還請求権は、建物明け渡しによって発生する権利なので、その時点において借り主に債務があれば、敷金はその金額の範囲で当然に充当されて消滅するため、借り主から相殺の主張がされる余地がないことになります。

 

2.敷金の返還について

(1)返還時期について

大家さんは、賃貸借契約が終了して借り主が建物を明け渡したときに、滞納家賃等の債務一切を敷金から控除した残額について借り主に返還しなければなりません。(最判昭和48・2・2)

そのため、建物明け渡し時が借り主の敷金返還請求権の発生時期になります

このことから、借り主が、「敷金を返さない限り建物を明け渡さない。」という主張をすることはできないということになり、借り主としては敷金返還請求をしたいのであれば先に建物を明け渡す必要が出てきます。

(2)敷金返還請求にかかる利息・損害金

敷金返還債務については、特約の無い限り利息は付きません。

敷金返還債務の履行遅滞の起算日は、期限の到来したことを知った日である「建物明け渡しのあった日」となりその翌日から損害金が発生することになることが多いです。

Q:賃貸借契約終了前に借り主の債権者から敷金について差押がされました。借り主は家賃の滞納があるのですが預かっている敷金と充当してもよいのでしょうか?

A:充当することは可能です。

差押の対象となっている敷金は建物明け渡し時に発生する返還請求権であるため、借り主の全ての債務を控除した残額が差押の対象となります。

したがって、借り主の債権者より先に敷金から滞納家賃債権を回収することができます。

 

次回は、オーナーチェンジがあった場合の敷金、滞納家賃について取り上げさせていただきます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/261

いつもありがとうございます。

家賃滞納の時効は何年?起算点と時効完成を防ぐ方法【司法書士解説】

滞納家賃を放置していませんか?最短で5年で請求できなくなります。

借主の家賃滞納が続いている場合に、一定期間その滞納状態を放置すると時効にかかって請求することができなくなってしまいます。

この記事では、

  • 家賃の時効はいつから何年間なのか?
  • 時効の完成を防ぐためにはどうしたらよいのか?

について取り上げていきたいと思います。

 

1 家賃の時効はいつから何年間なのか

(1)時効期間の開始時期(起算点)と時効期間について

家賃の時効期間の開始時期は、次のいずれかのうちどちらか早いほうで、どちらに該当するかによって時効期間が変わってきます。

ア 賃貸人が家賃を「請求できる」ことを知ったときから5年間(主観的起算点)

イ 家賃を「請求できる」ときから10年(客観的起算点)

 

この「請求できる」とは、

権利を行使することについて、法律上の障害がなくなったとき

を指します。

 

「法律上の障害」とは、わかりやすい例としては、「期限」が挙げられます。

家賃の支払いについて、期限が設定されていれば、請求しても期限(法律上の障害)を理由に賃借人は請求を拒めます。

 

(2)開始時期の具体例

賃料の支払時期は賃貸借契約で、

「毎月末日限り翌月分払い」

と定めていることが多いです。

 

例えば、このような定めがある場合は、令和8年9月分の賃料の支払時期は、

令和8年8月31日まで

となります。

8月31日24時までは、賃借人において「期限があります」と請求を拒める(法律上の障害がある)ので、その日時を経過した9月1日が家賃を請求できるときとなります。

 

一般的に賃貸人は賃料の支払時期を知っています。

その場合、アに該当し、

「賃貸人が家賃を請求できることを知ったとき」

と、

「家賃を請求できるとき」

は一致し、令和8年9月分の賃料の時効期間の開始時期は

令和8年9月1日

となります。

 

賃貸借契約について特に賃料支払時期を明確に取り決めていなかった場合は、「当月分を当月末日払い」となることが法律で定められていますので、翌月1日が起算点になります。

 

賃貸借契約当時の賃貸人が亡くなって相続が生じるなど、何らかの事情があって現在の賃貸人が家賃を請求することができることを知らないときは、イの「家賃を請求することができるとき」として令和8年9月1日が時効期間の開始時期となります。

 

(3)時効の意思表示(援用)

時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生じるものではありません。

時効の援用(時効の意思表示)がされて初めて確定的に生じます。

 

2 時効の完成を防ぐには

権利の上に眠る者を法は保護しません。だから消滅時効が認められているのです。

そこで、債権者である賃貸人は、時効を止めるために権利の上に眠っていないことを示す必要があります。

 

時効の完成を防ぐ方法には、主に次の方法があります。

  • 訴訟提起・支払督促・調停・強制執行等の申立
  • 仮差押え・仮処分の申立、催告
  • 協議を行う旨の合意
  • 債務の承認

(1)訴訟提起・支払督促・調停・強制執行等の申立について

これらの手続は、「時効の完成猶予」事由といいます。

これらの手続を開始して終了するまでは、本来の時効期間の経過では時効が完成しなくなります。

さらにこの手続が終了して権利が確定(確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定)したときは、終了したときから、後述する時効の更新の効果が生じ、その時効期間も10年に延びます

 

(2)仮差押え・仮処分の申立、催告について

これらの手続も「時効の完成猶予」事由です。

これらの手続が終了した時から6か月を経過するまでの間は、本来の時効期間の経過では時効が完成しなくなります。

仮差押えによる時効の完成猶予の効力は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続します。被保全債権(賃料債権)について訴訟で勝訴判決が確定しても、仮差押えによる時効の完成猶予の効力がこれに吸収されて消滅しません。

「催告」は、内容証明郵便などで請求したときから6か月間しか時効期間の完成を止められません。その間に支払がされたり、債務の承認などがなければ、あらためて訴訟提起など別の時効完成猶予事由を行って完成を止めなければなりません。

 

(3)協議を行う旨の合意について

「協議による時効の完成猶予」の制度は、令和2年4月1日から改正民法(債権法改正)により施行されました。

これは、債権者(賃貸人)と債務者(賃借人)の間で、債権(賃料)の有無について協議する旨の合意が書面や電磁的記録などでされた場合は、一定期間、時効の完成が猶予されるものです。

前述した(2)の「催告」をしても6か月以内に解決しない場合は、時効を止めるために訴訟等を提起しなければなりませんでした。

そこで、当事者間で「話し合いを継続しましょう」という合意ができた場合には、一定期間時効の完成(成立)をストップさせることができるようにし、裁判外での柔軟で円満な紛争解決を促す目的でこの制度が作られました。

この合意ができた場合は、

  • 合意があった時から1年間を経過した時
  • 1年未満の協議期間を定めたときは、その期間を経過した時
  • 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6か月を経過した時

まで、時効完成が猶予されます。

猶予期間中に再度協議の合意をすれば猶予期間は伸長されますが、元々の時効完成期間から5年を超えることはできません

 

(4)債務の承認について

「債務の承認」とは、賃借人が賃料債務の存在を認める意思表示です。

借主に念書等で滞納家賃の支払い義務があることを認めてもらうことなどが挙げられます。

これは、「時効の更新」といい、それまでの時効期間がリセットされます。

 

(Q&A)

Q1:滞納家賃の一部支払があった場合、時効は更新される?

A:更新されたとは言いがたいです。

一度発生した一つの債権を時期をずらして分割して支払うのであれば、一部支払であっても全体について承認したものとして時効期間が更新されますが、家賃債権は毎月定期的に発生するものであることから、一部支払により先に発生している古い滞納家賃に充当されるだけでその余の滞納家賃については、承認による更新の効力が生じているとまでは言えません。

もっとも、借り主が全体の滞納家賃を認めた上で、一部支払をしたのであれば、残りの滞納家賃についても承認されたものとして時効が更新されます。

Q:借り主が行方不明のため、保証人に滞納家賃を承認してもらいました。この場合、借り主に対する時効期間も更新しているのでしょうか?

A:借り主に対する時効は更新していません。

保証人が承認したのは滞納家賃の保証債務について承認したのであり、保証人は借り主の滞納家賃債務自体を承認することはできないことから借り主に対する時効は更新されていません。

このまま、借り主に対する滞納家賃債務が消滅時効にかかってしまった場合、保証人が途中で保証債務について承認したとしても、主たる滞納家賃債務の消滅と同時に保証債務も消滅してしまうため保証人にも請求できなくなってしまいます。

このような場合は、訴訟手続に進むのがよいと考えられます。

連帯保証人には「何」を「いくらまで」請求できる?【司法書士解説】

賃借人が家賃を滞納した場合、まずは賃借人に賃料を督促したり明渡を求めるかと思います。

応じてくれないときには、次は連帯保証人に接触して請求しますが、賃借人に要求したことと同じ事を請求できるわけではありません。

この記事では、連帯保証人に対して、

・「何」について請求できる?

・「いくらまで」請求できる?

という、連帯保証人の責任の範囲について取り上げます。

 

1 「何」について請求できる?

賃貸借契約書や保証契約書では、

「連帯保証人は、賃借人と連帯して、本契約から生じる賃借人の一切の債務を負担するものとする。」

といった条項が定めてあります。

このような条項ですと、賃貸人は賃借人に対する債務であれば何でも連帯保証人に請求してよいと考えてしまうかもしれませんが、性質上、連帯保証人に請求できないものがあります。

 

(1)請求できること

保証に関する条項の文言が前述したような

「賃貸借契約から生ずる一切の債務」

といった一般的な定めであれば、金銭債務については保証の範囲に含まれます。

例えば、次のような賃借人への債権を保証債務の履行として請求できます。

  • 賃料請求
  • 遅延損害金
  • 賃料相当損害金
  • 原状回復費用
  • 更新料

基本的には金銭債務についてはほとんど保証の範囲に含まれますが、例外的に以下の場合には範囲から外れて請求できません。

  • 契約条項において、保証対象を限定している場合(「保証範囲は賃料・原状回復費用に限る。」など)
  • 後述する(2)イに該当する賃料相当損害金

 

(2)請求できないこと

連帯保証人に対して請求できないものとしては次の例が挙げられます。

  • 建物明け渡し請求
  • 強制執行を怠って増大させた賃料相当損害金

ア 建物明け渡し請求

建物の明け渡しは、建物を実際に使用している賃借人だけが義務を負っているため、連帯保証人が代わりに明け渡すことはできません(大阪地判昭和51年3月12日)。

仮に契約書の中に、

「賃借人が建物内に残置した動産があるときはその処分、建物明け渡しに関する一切の権限を連帯保証人に委任する。」

という条項があったとしても、その合意自体が一方的に賃借人に不利な条項として無効になる可能性があります。

この条項を根拠に、連帯保証人の承諾を得て賃借人の残置動産を処分したり、建物明け渡しを実行してしまうと、賃借人から損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

イ 強制執行を怠って増大させた賃料相当損害金

訴訟等の法的手続により、賃借人に対する明渡しの給付条項が盛り込まれた債務名義(判決、和解等)が作成されている場合に、賃借人が任意の明渡をしない場合には、明渡の強制執行手続に進むことができます。

一般的にそのような債務名義には、明渡しまでの賃料相当損害金の支払に関する定めも盛り込まれていることが多いです。

このような場合に、明渡までに随時発生する賃料相当損害金を連帯保証人に請求すれば支払ってくれるので、賃貸人はあえて明渡の強制執行手続を行わず、そのまま賃借人に占有させ続けるとします。

連帯保証人からすれば、一日でも早く明渡の強制執行手続に着手してもらい明渡を実現させて、賃料相当損害金の責任から免れたいと考えます。

このように賃貸人が賃借人に対して明け渡しの強制執行ができるのにもかかわらず、あえてそれをせず、賃料相当損害金を増大させた上で連帯保証人に請求することは信義誠実の原則に反して許されません。

連帯保証人は、賃借人の滞納状況を知った時点で将来の保証債務に対する責任を負わない旨の意思表示(保証契約解除の意思表示)をすることで、連帯保証人の責任を免れる場合があります(大判昭和8年4月6日判決、東京地裁昭和51年7月16日判決)。

 

2 いくらまで請求できる?

(1)極度額まで

以前は賃貸借契約から生じる一切の金銭債務は、予期できる範囲内の債務として、保証債務の支払義務を免れることはできませんでした。

そのため、連帯保証人はいくらまで責任を負わなければならないのかが事前に把握することができず、不安定な立場に置かれていました。

そのような状態を解消するため、民法が改正され、保証人が個人の場合には、令和2年4月1日以降に締結された保証契約においては極度額を定めなければ、保証契約が無効になりました。

極度額とは、連帯保証人が責任を負う金額の「上限」のことです。

例えば、契約書に「極度額 300万円」と書いてあれば、滞納家賃や修理代がどれだけ膨らんでも、連帯保証人が払う責任は合計300万円までで打ち止めです。

したがって、連帯保証人に対しては、

  • 令和2年3月31日までに締結した保証契約であれば、賃貸借契約から生じる一切の金銭債務(上限なし・旧法適用)
  • 令和2年4月1日以降に締結した保証契約であれば、極度額まで(上限あり・新法適用)

を請求することができます。

令和2年3月31日までに締結した保証契約を令和2年4月1日以降に更新した場合は、従前の保証契約の内容が継続されるので、旧法が適用され極度額の定めは要件とはなりません。

 

(2)保証人が個人の場合と法人の場合の違い

ア 保証人が個人の場合

2(1)で前述したとおり、保証人が個人の場合は、極度額を定めなければ保証契約が無効になります。

 

イ 保証人が法人の場合

現代では、法人の保証会社が賃貸借契約の保証人になる場合が多いです。いわゆる保証会社です。

保証会社は、賃貸人との間で保証契約を締結し、賃借人との間で保証委託契約を締結します。

保証人が法人の場合、極度額の定めは契約成立の要件とはなっていませんが、保証債務履行後の将来の求償権について個人の連帯保証人をつけるのであれば、当初の保証契約に極度額の定めがなければ求償債権についての保証契約は無効となります(改正民法465条の5第1項)。

 

(3)極度額は固定額であること

極度額は「100万円まで」とか、「賃貸借契約時の家賃の10か月分」など固定額である必要があります。

「ただし、賃料が増額されたときは、増額後の家賃の10か月分」といった約束をすると固定額ではなくなってしまうので無効となる可能性があります。

なお、極度額に上限はありません。

 

(4)元本の確定事由

極度額を定めた保証契約を締結したとしても、次の場合は、主たる債務の元本が確定し、確定額以上に保証人が保証債務を負うことにはなりません(改正民法465条の4)。

  • 保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申立て、その手続の開始があったとき
  • 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき(賃借人が破産手続開始決定を受けても元本は確定しません。)
  • 主債務者の死亡又は保証人の死亡

 

3 まとめ

連帯保証人には、基本的には以下の金銭債務の保証債務の履行を請求できます。

  • 賃料請求
  • 遅延損害金
  • 賃料相当損害金(一部例外あり)
  • 原状回復費用
  • 更新料

金額としては、

  • 令和2年3月31日までに締結した保証契約であれば、賃貸借契約から生じる一切の金銭債務(上限なし・旧法適用)
  • 令和2年4月1日以降に締結した保証契約であれば、極度額まで(上限あり・新法適用)

まで請求できます。

連帯保証人に接触するタイミングや請求方法と応じないときの対応についてはこちらの記事を参考にしてください。

連帯保証人に接触するタイミングはいつ?請求方法と応じないときの対応【司法書士解説】

連帯保証人に接触するタイミングはいつ?請求方法と応じないときの対応【司法書士解説】

賃借人が家賃の滞納を起こし、督促しても賃料を支払ってくれないときがあります。

その後、繰り返し賃借人に督促しても、ごまかされて逃げられてしまったり、居留守を使われるといったことも多いです。

そんなときに次に行うのが連帯保証人への請求です。

この記事では、

連帯保証人に対する

  • 接触するタイミング
  • 連帯保証人に請求する方法
  • 連帯保証人が請求に応じないときの対応

について取り上げていきたいと思います。

 

1 連帯保証人に接触するタイミング

連帯保証人に接触するタイミングは、

  • 賃借人に督促しても再設定した期限までに支払ってくれない
  • 賃借人と連絡がつかなくなった

というタイミングで行うのがよいです。

 

(1)賃借人に督促しても再設定した期限までに支払ってくれない

賃借人が家賃滞納を起こした際、新たに期限を設定して督促することが多いですが、その期限を過ぎても支払がない場合は、もう支払えない状態になっていることがほとんどです。

そのような場合に、繰り返し督促をすると、賃借人も賃貸人から督促されることを嫌がって居留守を使ったり、「あと数日待ってほしい。」などとその場しのぎの言い訳をして逃げようとします。

場合によっては関係が悪化して、逆恨みされることもあります。

そこで、賃借人が再設定した期限までに支払ってくれなくなったタイミングで連帯保証人に事情を伝えましょう。

 

(2)賃借人と連絡がつかない

賃料の未払いが起きて、賃借人に接触しようとすると次のようなことが起きることがあります。

  • 電話に出ない
  • ショートメッセージに返事がない
  • LINEが既読にならない
  • 手紙を読んでいる様子がない
  • 家にいる(住んでいる)様子がない

こういった場合に繰り返し賃借人に督促するのは無意味なので、早急に連帯保証人に事情を伝えましょう。

連帯保証人を通じて賃借人に連絡がつくこともあれば、室内で動けなくなっている賃借人に気がつき、大事に至らず保護に導けることもあります。

 

2 連帯保証人に請求する方法

(1)請求方法

連帯保証人に接触する際は、まずは賃借人が賃料を支払っていない事実を伝えます。

それに併せて賃借人に代わり賃料を支払ってもらえないか請求します。

その方法は、口頭や電話でも可能ですが、形に残る方法で行った方が良いので手紙(内容証明郵便など)、メール、LINEなどの方法で請求するのがよいでしょう。

 

(2)請求の注意点

連帯保証人に請求するときに注意することが

  • 期限
  • 極度額
  • 支払名義

です。

ア 期限

期限を定めず請求をすると、いつまでに支払うべきかお互い共通認識を持てません。

賃貸人においては、一定期間が過ぎても支払がなければ次の手続(訴訟等)に進める必要があるので、その手続を開始する時期の目安になります。

連帯保証人においても、期限がないといつまでも待ってもらえると思い、履行を先延ばしにして、その間に法的手続が始まってしまう可能性もあります。

 

イ 極度額

令和2年4月1日以降、賃貸借契約における連帯保証契約では「極度額」を定めなければならなくなりました(保証人が個人の場合)。

極度額とは、保証人が責任を負う金額の上限です。

賃料の滞納額が極度額を超える場合であっても、極度額を超える請求はできません。

 

ウ 支払名義

連帯保証人が、賃借人名義で滞納額を振り込んでくると、次の問題が生じることがあります。

  • 連帯保証人がした支払は賃貸借契約の解除事由に影響を及ぼさないので、賃貸人においては、解除事由に該当しているのかが分からなくなります。
  • 外形的に連帯保証人が保証債務を履行したことが分かりにくくなるので、連帯保証人においては、賃借人に対して求償債権を請求できるかが不明確になります。

必ず連帯保証人名義で支払ってもらうようにしましょう。

 

3 連帯保証人が請求に応じないときの対応

連帯保証人に督促すると、以下のような対応をして請求に応じない場合があります。

  • 「借主に請求してくれ」と断られる
  • 「最初は連帯保証人になることには合意したけど、その契約期間が終わった後は合意していない」と断られる

このような対応があった場合、その言い分に法的な理由があるかを検討します。

理由がなければ、支払に応じないとして、訴訟等の法的手続を検討することになります。

 

(1)「借主に請求してくれ」と断られる

連帯保証契約ではない、単なる保証契約であれば、保証人としては

  • 賃借人に請求してください(催告の抗弁権)
  • 賃借人は価値ある財産を持っているから、先にそれを差し押さえて処分して、その代金を滞納家賃に充ててください(検索の抗弁権)

と反論することができます。

しかし、連帯保証契約は、単なる保証契約に連帯性の特約を設けた契約ですので、そういった反論をすることはできません。

一般的に賃貸借契約では、保証人との関係では連帯保証契約を締結することが通常ですので、連帯保証人による「借主に請求してくれ」との言い分は通用しません。

 

(2)「最初は連帯保証人になることには合意したけど、その契約期間が終わった後は合意していない」と断られる

これは次の記事で取り上げていますのでそちらを参考にしてください。

連帯保証人の責任はいつまで?契約更新後はどうなる?【司法書士解説】

 

まとめ

連帯保証人に接触するタイミングは、

  • 賃借人に督促しても再設定した期限までに支払ってくれない。」
  • 賃借人と連絡がつかなくなった」

ときで、手紙(内容証明郵便など)、メール、LINEなどの方法で滞納賃料を請求するのがよいでしょう。

請求に応じない場合に、その言い分に法的な理由がなければ法的手続を検討します。

連帯保証人に「何」を「いくらまで」請求できるかについてはこちらの記事を参考にしてください。

連帯保証人には「何」を「いくらまで」請求できる?【司法書士解説】

大家・借主が亡くなったら、滞納家賃はどうなる?

前回は、家賃滞納が発生した場合の対応について取り上げました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/53

この記事では、借り主の家賃が滞納している間に、大家さんが亡くなってしまった場合あるいは借り主が亡くなってしまった場合に、今後の滞納家賃の回収手続はどのようにするべきなのか?について取り上げていきたいと思います。

この点、大家さんあるいは借り主が亡くなる前か後かで場合分けして考えることになります。

大家さんが亡くなってしまった場合は、

・亡くなる前の滞納家賃は、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

・亡くなった後の滞納家賃は、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

借り主が亡くなってしまった場合は、

・亡くなる前の滞納家賃は、借り主各相続人の相続分に応じて分割されます。

・亡くなった後の滞納家賃は、借り主の各相続人に対して、全額を請求できます。

(解説)

1.大家さんが亡くなる前の滞納家賃について

滞納家賃請求権は金銭債権であるので、大家さんが亡くなって相続人が複数いる場合には、各相続人の相続分に応じて分けることができます。

そのため、大家さんが亡くなる前の滞納家賃は、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

※なお、現金については、金銭債権ではなく、物として考えることになりますので、借り主の家賃の滞納がなく、大家さんが受け取っていた家賃を現金で保管していた場合には、その現金は相続人全員の共有財産となり、相続人全員は相続分に応じて権利を取得しているだけなので、相続分に応じた額を当然に取得するわけではないのでご注意ください。

2.大家さんが亡くなった後の滞納家賃について

建物明け渡し請求権は、相続人間で分けることの出来ない債権であることから、各相続人は共同賃貸人となります。

その結果、かつては、大家さんが亡くなった後の滞納家賃請求権についても、各相続人間で分けることの出来ない金銭債権と考えられていました。

しかし、平成17年9月8日の最高裁判所の判決で、大家さんが亡くなった後の滞納家賃請求権は、大家さんの遺産ではなく、各相続人の共有財産と解し、各相続人がその持分に応じて賃料債権を取得することになりました。

そのため、亡くなった後の滞納家賃は、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

3.借り主が亡くなる前の滞納家賃について

滞納家賃債務は金銭債務であるので、借り主が亡くなって相続人が複数いる場合には、各相続人の相続分に応じて分けることができます。

そのため、借り主が亡くなる前の滞納家賃は、借り主各相続人の相続分に応じて分割されます。

4.借り主が亡くなった後の滞納家賃について

建物明け渡し義務は、相続人間で分けることの出来ない義務であることから、各相続人は共同賃借人となります。

その結果、借り主の相続人全員は、相続分に応じて建物の一部分をそれぞれ明け渡すということはできず、全員が建物全体を明け渡す義務を負っていることになります。

借り主の相続人全員が共同賃借人である以上、借り主の相続人全員は共同して建物全体を利用することができ、その賃料も相続人全員が全額を支払わなければなりません。

つまり、借り主(Aさん)が亡くなって、相続人が奥さん(Bさん)、子(Cさん)、子(Dさん)であるなら、大家さんは、Bさん、Cさん、Dさんのいずれの方に対しても家賃全額を請求することができます。

そのため、貸し主が亡くなった後の滞納家賃は、借り主の各相続人に対して、全額を請求できます。

(まとめ)

 

B-01

Q:大家である父が亡くなる前に賃貸借契約を解除していたため、賃料相当損害金が発生しているのですが、これはどのような取り扱いになりますか?

A:大家さんが亡くなる前の賃料相当損害金は、滞納家賃と同様に、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

その他のパターンについては以下のとおりですので参考にしてください。

・大家さんが亡くなった後の賃料相当損害金については、大家さんの各相続人の相続分に応じて分割されます。

・借り主が亡くなった日までの賃料相当損害金は、相続開始の日までの借り主各相続人の相続分に応じて分割されます。

・借り主が亡くなった日の翌日から賃料相当損害金は、借り主の各相続人に対して、全額を請求できます。

※借り主の場合は亡くなった日とその翌日では取り扱いが違うので注意してください。

(まとめ)

 

B-02

Q:大家さんが亡くなった後、建物明け渡し請求は相続人全員で行う必要がありますか?

A:建物明け渡し請求は、分けることのできない債権ですので、相続人各自が行うことができます。

もっとも相続人全員で共同して行っていただいても大丈夫です。

ただし、建物明け渡し請求の前提となる契約解除の内容証明郵便については、各相続人のうち、持分価額の過半数を有している相続人から行うことが必要になりますので注意してください!

心配であれば、相続人全員の連名で内容証明郵便を出しておけばベストです。

なお、相続人全員で建物明け渡し請求を行う場合の、請求の趣旨の記載例を挙げておきます。

「1.被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。

2.被告は、原告Aに対し、金★万★★★★円及び平成★★年★★月★★日から前項の建物明け渡し済みまで1か月★万円の割合による金員を支払え

3.被告は、原告Bに対し、金★万★★★★円及び平成★★年★★月★★日から前項の建物明け渡し済みまで1か月★万円の割合による金員を支払え

4.訴訟費用は被告の負担とする。

との判決ならびに仮執行を求める。」

などと記載することになります(大家さんの相続人が原告Aと原告Bの2人の場合)。

 

Q:借り主が亡くなった場合、契約解除の内容証明郵便は誰に送ればよいですか?

A:借り主の相続人全員に対して送る必要があります。

 

次回は、建物明け渡しの強制執行について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/kyouseisikkou/76

いつもありがとうございます。

家賃滞納が発生した場合の対応について

前回は建物明け渡しの強制執行手続の準備について取り上げました。

その記事→https://k-legal-office.com/blog/kyouseisikkou/36

大家さんは、借り主が家賃の支払いが遅れた場合に、速やかに家賃の支払いを催促することが多いと思います。

この記事では、家賃の滞納について催促する場合に大家さんが注意すべき事について取り上げます。

催促を行う場合に注意すべき行為の一例を挙げると、

・鍵の無断交換、荷物の無断搬出をしないこと

・催促の際に暴力的な態度、乱暴な言葉を使わないこと

・早朝や深夜などの時間帯に催促しないこと

・張り紙、立て看板等をたてて催促しないこと

・不必要に勤務先や保証人ではない親族へ催促しないこと

・多人数で、借り主や保証人の家に押しかけないこと

などです。

(解説)

1.鍵の無断交換、荷物の無断搬出をしないこと

日本の法律においては、権利者の自力救済を認めていません。仮に自力救済をしてしまった場合、その行為は法律に反する行為になってしまうため様々なペナルティを課せられることになってしまいます。

自分の所有する建物であったとしても、その建物を利用する権利は借り主にあるので、鍵の無断交換や、荷物の無断搬出を行うと、住居侵入や器物損壊といった刑事上の責任を負うことになることのほか、民事上においても損害賠償請求をされる可能性があります。

また、そのような行為を管理会社の方が行った場合には、その管理会社は法律違反行為をする会社と知らしめられ社会的評価を下げる結果につながります。

2.催促の際に暴力的な態度、乱暴な言葉を使わないこと

大家さんには家賃を回収する権利があります。しかし、この権利行使を楯になんでもやってよいかというとそういうことはありません。

家賃の支払い催促において借り主にプレッシャーを与えることは時には必要ですが、催促の際に暴力的な態度、乱暴な言葉を使うなど度が過ぎると恐喝罪となって刑事上の責任を追うことになります

そのような行為をして成立させた合意は、借り主の意思に基づくものではないとして合意が取り消される可能性もあります。

3.早朝や深夜などの時間帯に催促しないこと

一般的に、早朝や深夜は借り主は建物内で睡眠を取っていることが多いと考えられ、必要性も無くそのような時間帯に催促に行くことは、いくら家賃の回収という権利行使であっても平穏な生活を妨げる行為と評価される可能性があります。

4.張り紙、立て看板等をたてて催促しないこと

張り紙や立て看板をたてて催促することは、借り主以外の者に借り主が家賃を滞納していることを知らしめる結果となり、借り主の名誉を傷つける行為と評価される可能性があります。

5.不必要に勤務先や保証人ではない親族へ催促しないこと

催告をする方法について勤務先に催告する以外に執るべき手段があるなど、勤務先に催促する必要性も高くない場合に、借り主が勤めている勤務先に家賃滞納の事実を伝え間接的に催告することは、借り主以外の者に借り主が家賃を滞納していることを知らしめる結果となり、借り主の勤務先内での評価が下がるなど、借り主の名誉を傷つける行為と評価される可能性があります。

6.多人数で、借り主や保証人の家に押しかけないこと

多人数で家賃の支払いの催促をすることは、借り主にとって過度なプレッシャーを与えることになります。

そのような行為をして成立させた合意は、借り主の意思に基づくものではないとして合意が取り消される可能性もあります。

 

以上のようなことをすると、建物明け渡し請求の訴訟の中で、家賃滞納している借り主に交渉道具を与え、場合によっては契約解除が認められなくなる可能性も生じてきます。大家さんとしては法律の手続に従って家賃を回収する必要があるので、その方法が法律違反にならないようにしなければなりません。

そのため、その手段が法律に反していないか?社会一般的に妥当と言えるものかを意識して催告するように努めなければなりません。

Q:家賃の滞納があったので早急に口頭で催告はしたのですが、借り主は滞納している家賃をいっこうに払おうとしません。法律に反せず、妥当な方法で再度催告してみようと思いますが、どのようにしたらよいですか?

A:催告は口頭だけでなく書面でしていただいても構いません。また、催促して無視される場合に放っておくと許されていると考え始めるので、多少「しつこいな。」と思われるくらいの頻度で催促してください。

また、催告した記録は残しておいてください。催促の適正さを裏付ける証拠となります。

何度か催告しても応じない場合は内容証明郵便による方法で催促すると、大家さんの本気度を感じ、連絡をしてくる場合もあります。

いつもありがとうございます。

次回は、大家・借主が亡くなったら滞納家賃はどうなる?について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/62