オーナーチェンジがあった場合の敷金、滞納家賃

前回は、敷金の滞納家賃等への充当についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/254

今回は、賃貸借契約中に建物の所有者が変わった事で賃貸人に変動があった場合(オーナーチェンジ)に、預かっている敷金や滞納家賃はどのように承継するかについてご説明させていただきます。

建物の所有者が変わると、これまで所有者であった大家さん(旧賃貸人)の立場は、新しい所有者(新賃貸人)に承継されます。

そして、敷金、滞納家賃については次のような取り扱いをする必要があります。

 旧賃貸人に差し入れられていた敷金は、旧賃貸人に対する借り主の債務があればその債務に充当され、その残額が新賃貸人に承継されます。

② 旧賃貸人が借り主に対して有する滞納家賃債権は、新賃貸人に対して当然には承継しませんので、承継するのであれば債権譲渡の手続が必要になります。

 

1.承継する敷金について

借り主が旧賃貸人に差し入れていた敷金が、オーナーチェンジがあったときに借り主の債務と充当されるのは、旧賃貸人と借り主との間の賃貸借契約が終了し、その清算の過程の中で借り主の債務(滞納家賃等)を担保(敷金)により回収させる必要があるためです。

充当後の敷金残額が新賃貸人に引き継がれるのは、敷金が賃貸人のための担保として密接に結びつくものであることから、賃貸人の地位の移転とともに担保も移転を伴うべきであるためです。

そのため、賃貸借契約終了後明け渡し前に、オーナーチェンジがあった場合には、新賃貸人のための担保としての実益がないので、旧賃貸人と新賃貸人の合意のみでは敷金が承継しませんので注意が必要です。

 

2.旧賃貸人の滞納家賃債権について

オーナーチェンジがあると、旧賃貸人と借り主の賃貸借契約は終了します。旧賃貸人と借り主との関係で生じた債権債務関係は賃貸借契約終了後も継続するため、旧賃貸人は所有者でなくなったとしても滞納家賃請求をすることができます。

未払家賃債権は敷金とは異なり、新所有者に承継されないので、承継するには債権譲渡手続を行う必要が出てきます。

 

Q:借り主側に変動があった場合(賃借人の変更)があった場合、旧賃借人が差し入れていた敷金はどうなりますか?

A:旧賃借人が差し入れていた敷金は新賃借人に承継されません。

賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転するには大家さんの同意が必要になります。大家さんが同意した結果、賃借権の移転があると旧賃借人との賃貸借契約は終了します。そしてその清算の中で敷金に関しても債務に充当したり、返還したりすることになります。

承継するには、旧賃借人の債務を充当した敷金残額について、旧賃借人と新賃借人との間で債権譲渡手続をするか、旧賃借人が先に交付している敷金をもって、新賃借人の賃貸借契約における担保とする合意をする必要があります。

次回は、原状回復費用についてご説明させていただきます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/266

 

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