前回は、相続対策としてアパート建設は有効?というテーマでブログを書きました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/582
賃貸借契約時において、賃借人の債務について保証会社が賃借人と保証契約を結んでいるなら、賃借人が家賃を滞納した場合には、保証人が賃貸人に対して賃借人に代わって家賃債務を支払ってくれます。この支払のことを代位弁済といいます。
代位弁済後、保証会社は、賃貸人に支払った保証債務を賃借人に対して請求していきます。
そして、この場合に、賃貸人は賃借人に賃料の不払いがあったとして、賃貸借契約を解除することはできるのでしょうか?
(結論)
判例においては、解除することを認めています。
(解説)
保証会社から賃貸人に対して、家賃債務の代位弁済がなされているので、その代位弁済がされた限度では、賃貸人は賃借人に対しては、滞納家賃というものが存在しないことになります。
そうすると、契約書などで定めている、「賃料等の支払を2か月以上滞納したら賃貸借契約を解除する。」という条項に引っかからなくなるようにも思えます。
しかし、この点について、判例は、賃借人の債務不履行(家賃滞納の事実)について、保証会社による代位弁済の事実を考慮することは相当ではないとしました。
あくまでも、解除事由の発生は、賃借人の賃料不払いの事実のみをもって考えるべきであり、保証会社による代位弁済をもってその解除事由の発生に影響を与えないと判断しました(大阪高裁H25.11.22)。この判断は、上訴されましたが、最高裁でもこの結論は覆りませんでした。
以前からこの点については、滞納家賃がない以上、債務不履行がないとして、解除を認めないとする下級審判例も出ていたので、今後は統一的な取り扱いがなされていくのではないかと考えられます。
ただし、結局は家賃不払いの事実に加え、そのほかの事情を総合的に判断して、全体として信頼関係が破壊されているかどうかで解除事由が発生したかどうかを考えることになるのでしょう。
明日は、東京ビッグサイトで全国賃貸住宅新聞社様主催の賃貸住宅フェア2015に参加してきます。
Airbnbなど新しい不動産の運用方法のセミナーなどいろいろ聞いてこようと思います。
次回は、貸家に誰が住んでいるか分からないときは?について書きます。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/karisyobun/599
いつもありがとうございます。