貸家に誰が住んでいるか分からないときは?

前回は、保証会社からの滞納家賃の立て替えがあっても解除できる?というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/590

今回は、賃貸している建物に、賃借人(契約者)あるいはその家族ではない知らない者が入居しているような場合にどのように対応したらよいかについて取り上げてみたいと思います。

1.賃借人以外の者が使用していることを知るきっかけ

賃貸人が賃貸している建物や部屋に、賃借人以外の者が使用しているということを知るきっかけとしては、

・近隣の住民から、賃借人以外の者が居住して夜中に騒いでいるから何とかしてほしいと苦情を受けた

・部屋やポストの表札が賃借人とは別人の氏名になっている

・会社として使用している

などといったことが挙げられます。

2.賃借人以外の者が使用していることについての問題点

賃借人以外の者が使用している場面としては、

無断転貸

一方的な不法占有

が挙げられます。

一般的に賃貸借契約では又貸し(転貸借)は禁止されており、賃借人以外の者が入居あるいは使用することについて、賃貸人が承諾していない限り、そのような者が入居あるいは使用することはできません。

これは、賃貸借契約というものが、賃貸人が、その賃借人の属人的要素(職業、年齢等)を加味して契約するものであり、両者の信頼関係の上で成り立っているものであるからです。

無断転貸は、信頼関係を破壊する事情としては大きく、賃貸借契約を解除する事由の一つとなっています。

参考→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/146

また、無断転貸ではなく、一方的に勝手に他人の不動産を占有すること(不法占有)についても同様に許されません。

無断転貸であっても、一方的な不法占有であっても、賃貸人側からすれば、どういう者か分からない者が入居していることは管理が行き届かないことになってしまい、不動産自体の破損、近隣住民へ迷惑などといった問題が生じてしまうことが多いです。

3.賃借人以外の者の占有を排除するには

賃借人以外の者の占有を排除するには、その占有者に対して建物明け渡し請求を行っていくことになるのですが、そもそもその者がどういう人でどういう名前なのかも分からないような場合は、建物明け渡し請求の前に、債務者(占有者)を特定しない占有移転禁止の仮処分の申立をしておいたほうがよいでしょう。

この申立をする場合は、債務者(占有者)を特定することが困難とする特別の事情が必要になります。

この仮処分の執行手続により、実際に占有している者を特定し、その上で建物明け渡し請求をすることになりますが、その執行手続で特定できない場合は執行不能となってしまいますので注意が必要になります。

 

次回は、「直ちに明け渡しを求めたいときは」について取り上げます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/karisyobun/606

いつもありがとうございます。