カテゴリー別アーカイブ: 不動産経営

法人成りによる相続対策と事業承継について

前回は、法人成りして法人税の課税方式に代えて節税を考えましょうというテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/995

今回は前回の続きで、相続対策と事業承継の点について取り上げたいと思います。

1.所得の分散による相続対策

相続税は、所有者の相続が始まった時点での遺産が多ければ多いほど多額になります。

相続税対策を考えるなら、生前に相続時に遺産を多く残さないようにすることが必要です。

例えば、不動産事業を個人事業から法人成りして、自らを法人の代表者として、家族をその法人の役員や従業員として、役員報酬あるいは給与等の形で不動産事業の所得を分配します。

その結果、元々、不動産の所有者だった個人に相続が生じた場合には、相続時における遺産は少なくなっていることから、相続税もそれにあわせて少なくなります。

2.法人成りすることで経費化しやすくなる。

家族を法人の役員や従業員にしたとして、その者らに対して支払う役員報酬や給与は、経費として認められている点も、法人税の節税の観点から有効です(額が多すぎる場合は認められない場合もあります。)。

給与を受け取る者にとっても、給与所得者控除が認められている点(給与等の収入金額から一定額を控除した部分について課税がされる。)で、メリットがあります。

さらに、個人事業では認められない退職金についても、法人成りして退職金として支払うなら経費として認められます(受け取る者にとっても、一定額までは退職所得控除が認められるため、所得税を抑えることができるというメリットがあります。)。

3.基礎控除額の減額

税制改正により、2015年1月から遺産にかかる基礎控除額が引き下げられました。

従前は、

基礎控除額「5,000万円」+「1,000万円」×法定相続人の数

という計算式によって基礎控除額が求められたのに対して、

現在は、

基礎控除額「3,000万円」+「600万円」×法定相続人の数

という計算式で基礎控除額が算出されるようになりました。

例えば、ご主人が亡くなり、法定相続人が奥様、子供二人のケースでいえば、

従前は、5,000万円+(1,000万円×3)=8,000万円まで基礎控除額が認められたのに対して、

現在は、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円までが基礎控除として認められる金額となります。

このように基礎控除額を超え、相続税が課税される範囲が広がったことからも、生前中に相続時に遺産を多く残さないようにすることが大切です。

4.遺産分割協議の長期化回避と事業承継の容易性

不動産を個人名義で所有したまま、所有者がお亡くなりになり相続が開始すると、相続人間で「遺産をどのように分割するか。」という遺産分割協議をしなければなりません。

預金などと違い、不動産は簡単に分けることができないので遺産分割協議がまとまらず、家裁に遺産分割調停を申し立てるケースも少なくありません。

しかし、相続税の申告や納付は、相続があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

遺産分割協議がまとまっていないことを理由に相続税を納めないなら、延滞税を支払わなければならなくなります。

遺産分割協議がまとまっていないまま申告する場合には、「配偶者の税額の軽減」「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができません(遺産分割がまとまった段階で、更正の請求を行うことで適用される場合があります。)。

このように不動産を個人で所有したままにしておいたことが原因で、相続人間でもめてしまったり、支払わなくてよい延滞税を支払う必要が生じてしまったり、受けることができた特例が受けられなくなったりするなど誰も得をしないケースが生じる場合があります。

この点、例えば、不動産を株式会社名義にしておけば、元々の所有者に相続が生じても、不動産の所有名義が変わるわけではないので、相続人のうちの誰が新たな不動産の所有者となるかとの点では問題が生じないことになります。

遺産についても、元々の所有者が持っていた株式会社の株式となり、不動産に比べて分割しやすくなるので、株式会社の事業承継は容易なものとなります。

 

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不動産事業を法人成りして節税をしましょう!(所得税と法人税)

近年、不動産事業の法人化が進んできていると感じます。

不動産事業の法人化とは、

新たに取得する不動産を法人名義とする。

あるいは

個人所有不動産を法人所有へ切り替える。

ことをいいます。

今回は、不動産事業の法人化の特徴について取り上げさせていただきます。

 

1.なぜ不動産事業の法人化をするのか?

不動産事業の法人化の目的は、節税と事業承継です。

具体的には、

① 収入について、所得税で課税されていたものを法人税で課税される仕組みを作り、負担を少なくする。

② 個人の所有者に相続が生じた場合に、遺産である不動産を誰が取得するかという点でもめて、遺産分割協議に時間を要することになることを避ける。

③ 資産が不動産から、株式等の形に変わる方が事業承継しやすくなる。

このような点でメリットがあります。

今回は、①の所得税と法人税の点について説明します。

2.所得税について

個人名で不動産を所有し、個人名で不動産事業をしている場合に、不動産所得(家賃収入、不動産売買の損益)を得ると、所得税が課税されます。

さらに分けると、不動産所得が家賃収入の場合は、給料などの本業から得た収入と合算して申告することになります(これを総合課税といいます。仕組みは、(収入ー費用)×税率(累進課税)となります。)。

不動産所得が不動産売買の損益の場合は、本業から得た収入とは分離して申告することになります(これを分離課税といいます。仕組みは、売却益×税率となります。転売差益を得る目的で、短期間しか所有していない場合は税率が高くなります。約5年くらい所有してから売却する方が税率が低くなります。)。

このように個人は、所得の種類(家賃収入か、不動産売買の損益か)によって課税方式が異なります。

3.法人税について

一方、法人名で不動産を所有し、法人名で不動産事業(賃貸経営)をしている場合に、不動産所得(家賃収入)を得ると、法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税)が課税されます。

法人税は総合課税のため、所得の種類の区別無く、決算期ごとに損益を合算し、合計額に一定の税率を乗じて課税額が決まります。

不動産売買の損益についても、個人と異なり分離課税方式が採られないので、短期売買目的だったかどうか(一定期間(約5年間)所有していたかどうか)によって税率が変わるということがなく、損益を通算できるメリットがあります。

 

4.法人成りの目安

所得税は収入が多ければ多いほど税率が高くなるため、一定のライン(不動産事業のみで年収1000万円程度を目処)を超えると、同じ所得額でも所得税より法人税で課税された方が課税額が低くなる場合があります。

家賃収入を含め収入が多くなるまでは、個人所有で個人事業主として不動産事業をしていた方が良いですが、規模が大きくなったら、法人成りして、個人所有不動産を法人名義にして、不動産事業を法人化した方が良いでしょう。

以上は、一般的な場合の説明ですので、個々のケースによっては、以上とは異なる取り扱いになる場合があります。詳しくは税理士等の専門家にご確認ください。

 

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サブリースにおける賃料減額リスクの説明義務について

前回は、低所得者向けの空き家の活用というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/865

以前、「相続対策としてのアパート建設は本当に有効?」というテーマで記事を書いた際にも触れましたが、近年、相続対策として預貯金等の現金をそのまま残したまま相続が発生してしまうと高額の税金がかかってしまうので、遊休地にアパートを建設したり、賃貸用高層マンションをを購入したりするなど、現金を物に変えておいて、相続が生じた場合にかかる税金が低額になるように節税対策をするということが行われています。

遊休地にアパートを建設した場合には、大家さんは直接店子から賃料を得る場合はともかく、不動産会社などから、「アパート収入は年金の足しになる。」、「サブリース契約をするから満室でなくとも賃料は保証する。」といった提案を受けて、サブリース契約をした場合には注意が必要です。

どのようなことに注意が必要かというと、不動産会社の「満室にならなくとも賃料は保証する。」という提案を信じて建設に至っているのに、実際にアパートを建設をして入居者募集をかけても、ほとんど満室にはならないため、その賃料保証額の減額の提案を受けているという点です。

賃料額の改訂がされて保証額が減額になるということについて説明がなく、そのようなことが契約書に盛り込んであったことを確認しなかったことによるトラブルになります。

中には、サブリース契約を解約して、借金と空室率の高いアパートが残ってしまったという方もいるようです。

このようなトラブルが多いことから、「国土交通省は『将来は家賃が減る可能性がある。』との説明を賃貸住宅管理業者に義務づける制度改正を決めた。」というニュースがありました。

この制度改正が実現すれば一定のトラブル予防にはなると思いますので、早期の実現を期待したいところです。

それでも、不動産を購入するなど大きな買い物をする場合には、事前に契約書の写しをもらってじっくり読み込み、気になる点については専門家に相談して、契約書リスクチェックを行ってから契約に臨むべきだなと思いました。

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シェアハウスの活用と契約上の注意点について

前回は、「入居者の騒音をやめさせないリスク」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/mansyonkanri/812

近年、新しい賃貸の形として、持ち家をシェアハウスとして貸し出している大家さんが増えてきています。そこで、今回はシェアハウスの活用と契約上の注意点について取り上げたいと思います。

1.シェアハウスとは?

一つの建物(一軒家、マンションの一部屋)の中で、各居室に他人同士が住み、リビング、ダイニング、キッチン、トイレ、バス等の設備を共同で利用する賃貸借です。

賃貸に出して有効利用したいと考える広い家を所有する大家さんと、自分の個室はちゃんと用意されていながらも、充実した設備のもと、比較的安い価格で入居したいとする賃借人のニーズが一致した新しい形の賃貸借ということができます。

 

2.シェアハウスの活用で得られる大家さんのメリット

①客付けしやすくなる。

広い家を一軒あるいは一部屋丸ごと貸しだそうとすると、広い家を探している少数の人しかその賃貸物件を見てもらうことができません。

しかし、シェアハウスにして一部屋単位で貸しだそうとすれば、全体の数として多い個人の入居者も、入居先の候補として見てもらうことができるようになります。

また、女性専用などといったコンセプトのあるシェアハウスにして、インテリアなどの共用設備を工夫すれば、容易に付加価値をつけて差別化をすることができます。入居者にとってもメリットになります。

②普通に1世帯に貸し出すより多くの賃料収益が見込める。

ファミリータイプとして貸し出すのではなく、ワンルームの部屋を複数貸し出す形になるので、広さで賃料を決定できるようになることから、各部屋満室になればトータルでは多くの賃料収益が見込めます。

③設備にかける費用が節約できる。

アパートと異なり、各部屋にキッチンやトイレ、バスといった設備が備わっているわけではないので、共用設備にかける費用が1軒分だけで済みます。

 

3.シェアハウスの注意点

シェアハウスは、他人が共同生活をする場なので、中には社会的な常識や、建物内での共通ルールを守らないといったように共同生活になじめないといった方も入居されることもあります。

その結果、他の入居者とトラブルが生じ、問題のない入居者が退去してしまったり、近隣から苦情が来たりということがあります。

そこで、そのような問題のある入居者を退去させやすくするためにも、入居者とは定期借家契約を結んでおくと良いでしょう。最初は試験的に賃貸期間を短くしておいて(例えば、1年とか)、問題の無い入居者であれば再契約の際に期間を長くするといったようにしていくのが良いと思われます。

定期借家契約の特徴についてはこちらを参考にして下さい。

 

次回は、「離婚の話し合いの最中に夫婦の一方が所有する家に住むことはできるのか?」について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/831

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Airbnbを利用して空室物件を活用してみよう。

前回は「定期借家の再契約の予約について」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/688

今回は、「Airbnbを利用した空室物件の活用」について取り上げたいと思います。

1.Airbnbとは?

Airbnbとは、米国Airbnb社が提供する民泊仲介サービスです。

自宅を宿として貸したい人と、宿泊料金を抑えて泊まりたいという人をつなぐサービスで世界中で利用されています。

例えば、空き家となってしまった自宅を貸し出して有効活用したいと思うのであれば、そのサービスに自宅の情報、利用方法、宿泊料などを設定して登録します。そして、借り手はその登録された情報を閲覧して物件を探し、希望に合致する物件の利用の申し込みをします。

貸し手にとっては、全く使わなくなった自宅や、自宅を一定期間空き家にする場合などに登録しておいて貸し出すことで有効活用することができ、また借り手にとっても宿泊料金を抑えられることで双方にメリットがあり、急成長しているサービスです。

そして、このサービスにより建物を、主に外国人観光客に利用してもらうことを狙いとしています。

2.「民泊」は自由にすることができるのか?

日本には、「旅館業法」という法律があり、「旅館業」に該当する場合には都道府県知事の許可を取得する必要があります

「旅館業」とは、厚生労働省のガイドラインによれば、①宿泊料を受けて、②人を宿泊させる、③営業を指します。

厚生労働省ガイドライン→http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html

そうすると「民泊」も①、②、③の要件を満たし、「旅館業」に該当するように考えられます。

そして、「旅館業」に該当するため、都道府県知事の許可を取得したとしても、その先には、建物の入り口にフロント施設を作り、そのフロントに受付の人を滞在させなければならないとか、宿泊者には必ず住所と氏名を書かせなければならないといったルールが課せられることになります。

そうすると、気軽に民泊を行うことができません。

3.国家戦略特区に指定されたエリアなら?

現在、日本は2020年の東京オリンピックに向けて、国家戦略特別区域法が制定されて、いくつかのエリアが国家戦略特区として指定されています。

指定されているエリアはこちら→http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html

この指定されたエリア内においては、「民泊」について、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業として内閣総理大臣の認定を受ければ館業法の規制が緩和されるため、以後都道府県知事の許可を受ける必要が無くなり、民泊が合法化されます国家戦略特別区域法13条)。

問題は、この内閣総理大臣の認定を受けるための要件の中に、

①利用期間が7日から10日の範囲で条例で定めた期間以上であること

②一部屋の面積が25㎡以上であること

③施設の使用方法について外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供等をすること

といった制約があります(国家戦略特別区域法施行令12条)。

訪日外国人の宿泊日数は短期間が多いと言われていますので、特に①がネックになりそうです。

ここ数年で、中国、ミャンマー、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムといったアジア圏についてのビザ要件を緩和し、外国人観光客を誘致しようとする動きからしても、短期間の宿泊日数のニーズが多いとなるとそれに合わせた期間の短縮の可能性も考えられます。

Airbnbが今後どのように活用されていくのか注目していきたいです。

 

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定期借家の再契約の予約について

前回は「使用しない不動産は放棄することができるか?」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/684

今回は、「定期借家契約の終了後に再度定期借家契約を結ぶ」旨を、最初の契約段階で予約することについて取り上げたいと思います。

1.定期借家契約とは

期間の定めのある建物の賃貸借契約をする場合において、公正証書等の書面により、契約の更新ができないことを内容とする賃貸借契約を交わすことです。

2.定期借家契約の特徴

定期借家契約の最大の特徴は、「契約の更新ができないこと」です。

賃貸人の立場から見れば、契約の更新ができず、期間の満了後に確実に入居者を退去させることができるようになるため、将来的に建物の建て替えを予定している場合や単身赴任など一時的に自宅として使用しない場合などに定期借家契約を使うメリットがあります。

また、迷惑行為をする入居者の立ち退きの場面でも役立ちます。

契約が一度終了することになるので、市場の賃料相場と連動させた賃料の見直しをしたい方にも活用できます。

しかし、入居者の立場からすれば、定期借家契約であると期間満了後には必ず立ち退かなければならないので、賃貸期間以上に利用したいと考える入居希望者からは敬遠され、客付けが難しくなり、低い賃料設定で募集をかけざるを得ない場面もあります。

それでは、当初の定期借家契約の段階で「期間満了後に新たに再契約すること」の予約ができれば、入居希望者に長期間の安定的な居住を提供できるようになるのでしょうか?

3.定期借家の再契約の予約

当初の定期借家契約の段階で「期間満了後に新たに再契約すること」を予約することはできます

しかし、予約の中で再契約ができない事項を定め、その事項に該当する場合には再契約しない(予約を完結しない)と定める場合には注意が必要です

具体的には、賃借人において賃貸期間内に近隣迷惑をかけるような行為があった場合とか、賃貸人の単身赴任が終了してその建物を利用する事情が生じた場合といった事項が挙げられます。

そのような事項に該当することがあった場合、近隣迷惑行為の有無や、安定的な居住を受けられないという理由で賃貸人と賃借人の間でトラブルになる可能性があります。

そのため、再契約の予約は、ある程度賃借人との信頼関係ができている場合や、賃貸人側の事情にも理解を示してくれるような賃借人である場合などには有効に活用できると思います。

 

次回は、「Airbnbを利用した空室物件を活用」について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/801

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遺産分割協議が成立するまでの賃料について

前回は、東京司法書士会中野支部で建物明け渡し請求の研修講師のレポートを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/seminar/646

このところ相続にまつわる相談が増えてきて、その中で、よく質問される「相続発生から遺産分割協議が成立するまでの賃料について」というテーマでブログを書きたいと思います。

1.相続発生から遺産分割協議が成立するまでの賃料は相続人が相続分に応じて取得する。

被相続人が所有していた賃貸物件(賃貸建物など)の所有権については遺産分割協議の対象となります。

その賃貸物件から相続発生後に生じる賃料についてはちょっと注意が必要です。

かつては、相続開始後の賃料は、賃貸人の地位が相続によって共同相続人に承継されて、共同相続人らは「共同賃貸人」となり、賃借人に目的物(賃貸建物など)を使用収益させる義務は性質上不可分債務(分けられない債務)であることから、この対価としての賃料も不可分債権(分けられない債権)と考えられていました。

しかし、平成17年9月8日の判例によって、この「相続発生から遺産分割協議が成立するまでの賃料」は、遺産とは別個の財産であって、「共同相続人の共有財産」であると解されて各共同相続人がその相続分に応じて取得することができるとしました。

そのため、「相続発生から遺産分割協議が成立するまでの賃料」については、そもそも遺産分割協議の対象ではないので、協議を経ることなく各相続人が分割単独債権として確定的に取得することができます。

2.遺産分割協議の対象に加えることもできる。

「相続発生から遺産分割協議が成立するまでの賃料」については、そもそも遺産分割協議の対象ではないのですが、共同相続人全員の合意があれば遺産分割協議の対象とすることができます

実際のところ、被相続人の面倒をよく見ていた相続人のうちの一人が、相続発生後に相続財産である賃貸物件の管理をしているケースが多く、その場合の賃料も長年その相続人が受け取っていることが多いので、その点も含めて遺産分割協議の中でまとめて話し合いをすることが多いと思います。

 

次回は、埼玉司法書士会で建物明け渡し請求の研修講師をしてきたことについてのレポートについて書きたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/seminar/671

 

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相続対策としてアパート建設は本当に有効?

前回は、火災保険の長期契約が廃止に!というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/576

近年は、いろんな業種の方が相続対策・節税対策として様々な手法でサービスを提案しています。

その一つとして挙げられるのが、遊休地を利用したアパート建設です。

相続が発生したときに、預金などの現金をたくさん持っていると税金が多くかかってしまうため、生前に収益物件(アパート・賃貸マンション・賃貸戸建て)を購入あるいは建築して、現金を物にする。そして、その収益物件を賃貸に出し、賃料収入を得る。

不動産の固定資産評価額は、実際の購入・建築価格に比べて低下するので、その低い評価額を基準に税金が課せられるので、相続時においては、現金で相続するより、物として相続を受ける方が節税効果があります。一等地の高層マンションの上層階なんかは特にその効果が強く出ますよね。

そして、物は年数が経てば経つほど劣化していくので価値が落ちていきますので(減価償却)、さらに節税効果は上がると言えます。

たしかに、相続税の節税という観点から考えれば、現金を物として残すということもその通りということもできますが、その後の賃貸経営の面から考えるとどうでしょうか?

近年は、人口の都市部・中核市への集中化が進んでいます。この減少は今後ますます進んでいくと言われています。

そのような中、都市部・中核市からちょっと離れた地域にアパートを建設した場合に、入居者対策は大丈夫なんでしょうか?

ある程度、都市部・中核市から離れた地域においても人口がゼロになるということはなかなかないと思いますが、今の流れから行くと人口減少は進むでしょう。実際に現在においても、普通の民家の空き家が増加していますよね。

そんな中、「アパート建設が止まらない。~人口減少社会でなぜ~」というニュースを見つました。

これは、地主さんが不動産会社や建築会社から、「アパート収入は年金の足しになる。」、「サブリース契約をするから満室でなくとも賃料は保証する。」という提案を受けて、アパート建設をしたところ、ほとんど満室にはならず、さらに、その保証額の減額の提案を受けているというニュースでした。

中には、サブリース契約を解約して、借金と空室率の高いアパートが残ってしまったという方もいらっしゃいました。

これは、賃料額の改訂がされて保証額が減額になるということについて地主さんに説明がなく、そのようなことが契約書に盛り込んであったことを確認しなかったことによるトラブルになります。

やはり、不動産を購入するなど大きな買い物をする場合には、事前に契約書の写しをもらってじっくり読み込み、気になる点については専門家に相談するなどしてから、契約に臨むべきだなと思いました。

次回は、保証会社から滞納家賃の立て替えがあっても解除できる?について書きます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/yachintainou/590

 

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火災保険の長期契約が廃止に!

前回は競売物件購入のメリットと注意点について取り上げました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/572

不動産賃貸経営を始めてはや数ヶ月が経ちました。

これまでは業務の性質上、賃貸経営にまつわる法律トラブルを中心にその周辺知識を知る機会が多かったのですが、実際に不動産賃貸経営自体を始めてみると、法律分野以外のことについてもいろいろと学ばされます。

例えば、以前のブログで取り上げたこともあるのですが、固定資産税を電子マネーで払うことができ、クレジットカードでチャージすることでポイントを貯めることができることを知りました。

参考→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/519

そして、最近知ったのですが、平成27年10月から保険期間が10年を超える火災保険の長期契約が廃止になってしまうことを知りました。

これまでは、長期の保険期間の保険料を一括で支払うことで、かなりの割引がきいて安い金額となっていたのですが、平成27年10月以降はこの方法で契約することができませんので、実質的に値上げとなります。

火災保険は、火災のほかにも落雷・風災(台風)・雹(ひょう)災・雪災(豪雪)などの自然災害が原因で損害が生じた場合にも補償があり、さらにこれらの事故の後の片づけ、清掃、搬出などにかかる費用についても補償の対象となっていることがあります。

近年は、このような自然災害が増加し、保険金の支払事案が増加したことが、今回の火災保険の長期契約の廃止につながったと考えられているようです。

現在、そろそろ自宅を持とうとか、不動産経営を始めようとか、不動産の購入を検討されている方は、この機会に購入し、火災保険の保険料の節約を考えてみるのもいいかもしれません。

また、実際に加入済みの方も契約内容の変更ができるようなら、一度相談に行ってみて変更することにメリットがありそうなら変更を検討してみてもいいかもしれませんね。

次回は、相続対策としてのアパート建設は本当に有効?について取り上げます。

その記事はこちら→ http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/582

 

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競売物件を購入してみよう!

前回は、任意売却についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/567

今回は不動産を安く購入する方法である任意売却に引き続いて、不動産競売による競落という方法について取り上げます。

1.不動産競売とは?

一般的に、不動産を購入するときには銀行などの金融機関から融資を受けることが多いです。

融資を受けた金銭は不動産の売却代金や諸費用の支払に充て、買主は不動産を取得した後、不動産に融資の担保(借金のカタ)のために抵当権を設定します。住宅購入目的ではなく、事業のために融資を受けるために所有する自宅に(根)抵当権を設定する場合もあります。

そして、融資を受けた者は、その金融機関との融資額について契約どおりに返済をしていくわけですが、この返済が滞ったり、あるいは返済できなくなる場合があります。

その場合に、金融機関が、その不動産に設定している抵当権を実行することを担保不動産競売といいます。

抵当権を実行する(地方裁判所に担保不動産競売の申立をする)ことで、競売手続が開始され、手続の中で買受人を募り、入札等により競売物件を競落させ、支払われた競落代金は抵当権者である金融機関の残債権に優先的に充当されます。

不動産競売事件には、お金の貸し借りについて債務者所有の不動産に担保権を設定してはいないものの、債務者に支払を求める内容の判決や和解調書に基づき、債務者が所有する不動産を競売にかける強制競売の申立というケースもあります。

2.なぜ、競売物件は安く購入できるのか?

(1)そもそも不動産の価格が市場価格の6割程度

競売物件は、競売市場修正などの計算により、評価額が市場価格の6割程度の価格になることが多いです。

そして、一般に競売手続は、一定期間に買受希望価格を記載した入札書を提出させて、その中で最高価格申出人となった方について売却許可決定をして、残代金を納付させるという期間入札の方法をとっています。

しかし、その期間入札において一つも入札がなければ、特別売却期間が始まります。この場合は早い者勝ちとなり買受可能価額(売却基準価格の8割)で入札することができます。

その特別売却期間を過ぎても入札がなければ、売却代金の価額の再評価がされて、さらに競売物件の評価額は値下がりします。

(2)仲介手数料がかからない

不動産競売事件で落札した場合は、不動産会社から不動産を購入したわけではないので、不動産会社に不動産の媒介(または代理)にかかる仲介手数料がかかりません。

(3)書記官が所有権移転登記をする

落札した後には、裁判所書記官が不動産の所有権移転の登記嘱託を行ってくれるので、司法書士などの専門家に対して報酬を支払うことがありません(融資を受けて購入する場合は、抵当権設定について報酬が発生する場合もあります)。

3.安さだけで購入しないように注意が必要

以上のように、不動産競売であると不動産を安く取得することができますが、占有者との関係や不動産に瑕疵があった場合の負担などリスクも多く存在するので、購入する場合には競売物件の情報をしっかり検討してから購入するようにしましょう。特に、売れない物件はそれなりの理由があったりするので、購入する場合は要注意ですね。

次回は、火災保険の長期契約が廃止に!について取り上げます。

その記事はこちら→ http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/576

 

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