前回は「定期借家の再契約の予約について」というテーマでブログを書きました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/688
今回は、「Airbnbを利用した空室物件の活用」について取り上げたいと思います。
1.Airbnbとは?
Airbnbとは、米国Airbnb社が提供する民泊仲介サービスです。
自宅を宿として貸したい人と、宿泊料金を抑えて泊まりたいという人をつなぐサービスで世界中で利用されています。
例えば、空き家となってしまった自宅を貸し出して有効活用したいと思うのであれば、そのサービスに自宅の情報、利用方法、宿泊料などを設定して登録します。そして、借り手はその登録された情報を閲覧して物件を探し、希望に合致する物件の利用の申し込みをします。
貸し手にとっては、全く使わなくなった自宅や、自宅を一定期間空き家にする場合などに登録しておいて貸し出すことで有効活用することができ、また借り手にとっても宿泊料金を抑えられることで双方にメリットがあり、急成長しているサービスです。
そして、このサービスにより建物を、主に外国人観光客に利用してもらうことを狙いとしています。
2.「民泊」は自由にすることができるのか?
日本には、「旅館業法」という法律があり、「旅館業」に該当する場合には都道府県知事の許可を取得する必要があります。
「旅館業」とは、厚生労働省のガイドラインによれば、①宿泊料を受けて、②人を宿泊させる、③営業を指します。
厚生労働省ガイドライン→http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html
そうすると「民泊」も①、②、③の要件を満たし、「旅館業」に該当するように考えられます。
そして、「旅館業」に該当するため、都道府県知事の許可を取得したとしても、その先には、建物の入り口にフロント施設を作り、そのフロントに受付の人を滞在させなければならないとか、宿泊者には必ず住所と氏名を書かせなければならないといったルールが課せられることになります。
そうすると、気軽に民泊を行うことができません。
3.国家戦略特区に指定されたエリアなら?
現在、日本は2020年の東京オリンピックに向けて、国家戦略特別区域法が制定されて、いくつかのエリアが国家戦略特区として指定されています。
指定されているエリアはこちら→http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html
この指定されたエリア内においては、「民泊」について、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業として内閣総理大臣の認定を受ければ、旅館業法の規制が緩和されるため、以後都道府県知事の許可を受ける必要が無くなり、民泊が合法化されます(国家戦略特別区域法13条)。
問題は、この内閣総理大臣の認定を受けるための要件の中に、
①利用期間が7日から10日の範囲で条例で定めた期間以上であること
②一部屋の面積が25㎡以上であること
③施設の使用方法について外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供等をすること
といった制約があります(国家戦略特別区域法施行令12条)。
訪日外国人の宿泊日数は短期間が多いと言われていますので、特に①がネックになりそうです。
ここ数年で、中国、ミャンマー、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムといったアジア圏についてのビザ要件を緩和し、外国人観光客を誘致しようとする動きからしても、短期間の宿泊日数のニーズが多いとなるとそれに合わせた期間の短縮の可能性も考えられます。
Airbnbが今後どのように活用されていくのか注目していきたいです。
いつもありがとうございます。