カテゴリー別アーカイブ: 不動産経営

任意売却とは?

前回は、賃貸経営におけるマイナンバーの利用場面についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/552

賃貸経営において利回りを高くするため方法の一つとして、不動産を市場価格より安く購入するということが挙げられます。そして、不動産を安く購入する方法としては、任意売却(任売)と不動産競売(競売)という方法があります。

今回は、任意売却(任売)についてご説明させていただきます。

1.任意売却(任売)とは?

住宅ローンを組んで購入した不動産の所有者や、銀行などの金融機関から事業のために融資を受けた会社経営者が借入金の返済ができなくなり、ローン会社・銀行などから所有する不動産に設定した抵当権を実行されそうな場合に行われます。

一般的には、所有者が破産手続あるいは債務整理手続中で、弁護士が所有者の代理人となり、不動産会社との間で媒介契約を結んで、売却に出されていることが多いです。

2.任意売却のメリット

抵当権者である金融機関(銀行・ローン会社)からすれば、競売手続に要する時間と費用がかからず、かつ競売手続よりも高く売却できることから多く債権回収を図ることができるというメリットがあります。

所有者にとっても、競売に要する費用負担から免れるし、競売手続よりは高額で売却できるので、多く返済に充てられますので、残債務の支払について計画を練りやすくなります。

購入者においては、市場価格よりは安く購入できることのほか、抵当権者も所有者も売却の意向があるので、不動産の内部を確認することができる場合が多いです。

さらには、物件内の占有者を排除しなければならないとか、残置動産をどのように処分するかといった問題もほとんどありません。

そのほか、抵当権を実行され不動産競売事件が始まってしまうと、不動産の登記事項に差押の登記が入ります。それが一度入ってしまうとその物件を傷物として気にして購入を控える方もいらっしゃいます。任意売却の場合は差押の登記は入りませんのでその点を気にすることがありません。

このように任意売却ならではのメリットも多くありますが、それでも、不動産競売で売りに出されている競売物件の方が価格は安い傾向にあるので、更に利回りを高めたいという方は不動産競売にも注目した方が良いと思います。

次回は、不動産競売物件の購入について取り上げてみたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/572

 

いつもありがとうございます。

マイナンバー制度が始まります。

前回は、保証会社との間の契約条項の注意点についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/544

今回は、賃貸経営におけるマイナンバーの利用についてご説明したいと思います。

1.マイナンバー制度とは

平成27年10月から、市区町村から住民票を有する国民全員に対して、12桁の番号からなる個人番号が1人1つ指定され通知されます。企業や公官庁などの法人においては、国税庁から13桁の番号からなる法人番号が1法人1つ指定され通知されます。

マイナンバー制度は、このように個人あるいは法人に番号を付すことで、複数の機関に存在する情報を、同一人の情報であると確認するための制度です。

マイナンバーの利用目的は、「社会保障」、「税」、「災害対策」に限定して利用されることになっていますが、今後は医療などの他の分野にも利用されることが検討されているようです。

平成28年1月からの利用開始が予定されています。

2.なぜマイナンバー制度を導入するのか?

(1)所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくする。

例えば、併給できない支給を受けているなど、行政による過払いを防ぐ事ができるようになります。

(過払いを受けている場合は返還しなければなりません。)

(2)行政の効率化

同一人であるかどうかなどの情報の照合事務が軽減されます。

(3)国民の利便性の向上

他の行政機関で発行する書類の添付が不要になる場合があります。

3.賃貸経営におけるマイナンバーの利用場面

不動産の賃貸借契約において、年間の賃料等の合計金額が15万円を超えて支払をする法人と不動産業者である個人の方(主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方を除く。)は、賃貸人に対して、支払調書の提出が必要になります。

社宅として利用するために法人で賃貸借契約を結んだり、サブリース契約をしたような場合が該当することになるかと考えられます。

参考→https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7441.htm

新しい支払調書のサンプルはこちら→

http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/jizenjyoho/pdf/hotei1_04.pdf

そのような場合には、支払調書作成・提出事務のため、賃貸人である大家さんはマイナンバーの提供を求められることになります。

通常、賃貸借契約を結んだ時点で、月々の賃料額が決まっていることが多数であることから、年内に支払う賃料額が15万円を超えていればマイナンバーの提供を求められることになります(一方で、年の途中で賃貸借契約を締結したことにより年内での賃料額合計が15万円に達しないときは、支払調書の作成が不要になるため、契約時点においては、マイナンバーの提供を求められることはありません。)。

また、賃貸借契約の更新契約を締結した場合においても、既に提供を受けている賃貸人のマイナンバーを更新後の賃貸借契約の支払調書作成・提出事務のために利用されることがあります。

情報が一元化することで便利なことも多くありますが、その分リスクもあるとも言えるので、情報管理には気をつけたいですね。

 

次回は、不動産を安く購入する方法である任意売却について取り上げます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/567

いつもありがとうございます。

収益物件の実質利回りを計算してみよう!

前回は、建物明け渡しの強制執行手続に立ち会ってきましたので、その様子をレポートさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/kyouseisikkou/528

最近は、不動産経営業を本格的に始めるべく、毎日、物件情報を調べ、利回り等を計算し、よい収益物件がないか探しています。

不動産会社からいただく販売図面には、よく「表面利回り○%」などと書いてあることがありますが、これは不動産を購入するために必要な費用や、購入してから所有し続けることで発生する諸経費を一切考慮していない数字なので実際の利回りよりも少なくなります。

1.表面利回りとは

表面利回りの計算式は、

年間賃料額÷不動産購入価額×100=表面利回り

となります。

たとえば、賃料が月額10万円得られる物件だとして、不動産購入価額が1200万円だとしたら、年間賃料額は120万円なので(10万円×12か月)、表面利回りは10%となります。

2.実質利回りとは

不動産を購入する場合には、不動産の購入代金のほかにも様々な費用が必要になります。

例えば、不動産取得税、登記手続のための司法書士報酬・登録免許税、不動産会社に支払う仲介手数料(あるいは代理報酬)、各種契約書に貼付する収入印紙、ローン手数料、火災保険料などなど

不動産購入後にも、不動産を所有していることで固定資産税・都市計画税がかかります。マンションであれば管理費、修繕積立金もかかります。

更にローンを組んでいるなら、元本返済と利息も支払わなければなりません。

不動産経営者は、このような諸費用を考慮して、実質的な利回りを計算しておく必要があります。

この実質利回りの計算式を挙げるとするなら、

年間賃料額-毎年あるいは毎月かかる諸費用(固定資産税・都市計画税・管理費等)・・・①

購入価格+不動産購入時に必要な諸費用(不動産取得税等)・・・②

①÷②×100=実質利回り

この実質利回りの計算方法から分かるように、収入は減る方向に動き、支出は増える方向に動いていることから実質利回りは表面利回りよりも低い数字になります。

そして計算の結果出てきた実質利回りの数字をもって、その不動産の収益力を判断することができます。

計算するに当たって、こもごもの諸経費が分からない場合もありますが、分からないところは不動産会社などに聞いて調べていくと良いでしょう。

こういった計算を続けて、良い収益物件かどうかを見極める目を持つことができるようになっていこうと思います。

次回は、借家の立ち退き料の相場は?について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→ https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/537

 

いつもありがとうございます。

固定資産税はnanacoで払おう

前回は、借地契約における建物買取請求権についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/tochiakewatashi/511

今回は、固定資産税のお得な支払い方法について取り上げたいと思います。

 

結論からいうと、

固定資産税は、nanacoカードで支払うことができる

ということです。

 

nanacoは、セブンイレブン、イトーヨーカドー、西武などで使える電子マネーですが、このnanacoカードは、クレジットカードからチャージすることができます。

クレジットカードからチャージすることでクレジットカードのポイントを取得することができます。

そして、セブンイレブンに固定資産税納付書を持っていって、そのチャージされたnanacoカードで支払をすればOKです。

なお、nanacoで固定資産税の支払いをしても、nanacoカード自体のポイントはつきません。

注意点としては、nanacoにチャージできる限度額が5万円までなのと、チャージ回数、チャージ金額(1回につき29,000円)に制限があります。

そのため、一度にたくさんの固定資産税を支払う必要があるときは、nanacoカードを複数枚もってそれぞれに限度額いっぱいにチャージして支払をすれば良いかと思います(一人で複数枚nanacoカードを持つことは可能です。)。

実は、私も昨年から不動産賃貸経営の勉強を始め、利回り、担保力、稼働力などを計算しながら、近隣を中心に不動産を探し始めるようにしています。

しかし、いざ実践するとなかなかいい物件を見つけるのは難しく、また良い物件を見つけても、良い物件はすぐに買い受け申し出がされてしまうので、不動産投資はスピード勝負なんだと実感しています。

そのような中、今年になってようやく1軒目の物件を購入し、不動産賃貸業を始めることができました。

始めてみたことで、今回の記事のようなことを知ることができました。どうせ同じ金額を支払うにしても、ちょっとした工夫でお得になったりするもんなんだと実感しています。

今後は法律問題だけではなく、不動産賃貸経営に関して実践する中で有益な情報を学べたときは、そのようなことも記事として取り上げていきたいと思います。

次回は、建物明け渡しの強制執行手続に立ち会ってきましたので、その様子をレポートさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/kyouseisikkou/528

 

いつもありがとうございます。

カリスマ大家さんの鈴木ゆり子さんに会いました!

平成26年6月24日、25日に東京ビッグサイトにて行われました賃貸住宅フェア2014にてカリスマ大家さんの鈴木ゆり子さんに会いました。

鈴木ゆり子さん看板 鈴木ゆり子さん

鈴木ゆり子さんとは、埼玉県北部地域で空室率93%のボロ物件を利回り32%に変えたオバチャン大家さんです。→http://www.suzuyosi.org/yuriko/

私も鈴木ゆり子さんの書籍「専業主婦が年収1億のカリスマ大家さんに変わる方法」を読んだことがあるのですが、鈴木さんのすごいところは、

・仕事をしようとハローワークに行ったけれども、中卒だと仕事がないと言われたことをきっかけに、誰も雇ってくれないなら自分で仕事を始めようと大家業を始めたこと

・不動産屋さんに掘り出し物と勧められたアパートを購入したら、トイレが転がっているような部屋だったり、失敗もあったけれどもその失敗を糧に一つ一つ勉強して、逆に誰も買わないようなボロ物件をあえて購入して、自らの手で掃除、リフォームして高収益物件に変えたこと

・管理会社任せにせず、大家さん自らが借り主、近隣周辺の住民の方とコミュニケーションを取り、賃料滞納があっても良い関係を築いていること

などなど

中卒というハンデを乗り越え成功へ導いたそのモチベーションの高さがすごいなと驚かされます!

 

借り主目線の大家業

大家さんなのに借り主目線に立って、どういう物件だったら入居したいと思うかを考え、

・日が当たらず寒い部屋にはエアコンのみならずホットカーペットを用意してあげる。

・同じアパートの住人とコミュニケーションをとり、そのアパートの現場の声を聞いて、問題が大きくなる前に予防策を取っておく。

・実際に購入したアパートに住んでみて、現状を把握しておく。

・学生向きな物件なら事前にある程度の家具を用意してあげる

といった心配りも素晴らしいです!

私も大家業には大変興味があるので弟子入りしようかなと考えてしまいます(笑)

 

私自身勉強させられたこと

私のような法律専門職になると、「家賃滞納が続いていて催促しても応じてもらえていないんですね。そうしたら早めの解決に向けた法的手続に進みましょう。」と法的手段による解決を提案することが多いのですが、鈴木さんのように大家さんと借り主が良いコミュニケーションが出来ていると、そのような法的手段によらなくとも解決できることもあるんだなぁと考えさせられました。

確かに、どうしても法的手段による解決を図らなければならない場合もあります。ただ、お互いに相手の立場に立って物事を考えることができるような関係が築けているのであれば、そんな仰々しいことをする必要などないのかもしれません。

そして、裁判所は借主の保護を重きにおいた判断をしがちですので、私としては、契約段階において予防法務を提案して、なるべく裁判所の手続きを介することなく、円満解決ができるようなスキームを提案することが大家さんにとっても借主にとってもメリットにつながるのかなと感じました。

鈴木さんからは、大家さんの味方として、また、これから自ら大家業を行う者としての心構えを勉強させられたような気がします。

いつもありがとうございます。