前回は、保証会社との間の契約条項の注意点についてご説明させていただきました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/544
今回は、賃貸経営におけるマイナンバーの利用についてご説明したいと思います。
1.マイナンバー制度とは
平成27年10月から、市区町村から住民票を有する国民全員に対して、12桁の番号からなる個人番号が1人1つ指定され通知されます。企業や公官庁などの法人においては、国税庁から13桁の番号からなる法人番号が1法人1つ指定され通知されます。
マイナンバー制度は、このように個人あるいは法人に番号を付すことで、複数の機関に存在する情報を、同一人の情報であると確認するための制度です。
マイナンバーの利用目的は、「社会保障」、「税」、「災害対策」に限定して利用されることになっていますが、今後は医療などの他の分野にも利用されることが検討されているようです。
平成28年1月からの利用開始が予定されています。
2.なぜマイナンバー制度を導入するのか?
(1)所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくする。
例えば、併給できない支給を受けているなど、行政による過払いを防ぐ事ができるようになります。
(過払いを受けている場合は返還しなければなりません。)
(2)行政の効率化
同一人であるかどうかなどの情報の照合事務が軽減されます。
(3)国民の利便性の向上
他の行政機関で発行する書類の添付が不要になる場合があります。
3.賃貸経営におけるマイナンバーの利用場面
不動産の賃貸借契約において、年間の賃料等の合計金額が15万円を超えて支払をする法人と不動産業者である個人の方(主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方を除く。)は、賃貸人に対して、支払調書の提出が必要になります。
社宅として利用するために法人で賃貸借契約を結んだり、サブリース契約をしたような場合が該当することになるかと考えられます。
参考→https://www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7441.htm
新しい支払調書のサンプルはこちら→
http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/jizenjyoho/pdf/hotei1_04.pdf
そのような場合には、支払調書作成・提出事務のため、賃貸人である大家さんはマイナンバーの提供を求められることになります。
通常、賃貸借契約を結んだ時点で、月々の賃料額が決まっていることが多数であることから、年内に支払う賃料額が15万円を超えていればマイナンバーの提供を求められることになります(一方で、年の途中で賃貸借契約を締結したことにより年内での賃料額合計が15万円に達しないときは、支払調書の作成が不要になるため、契約時点においては、マイナンバーの提供を求められることはありません。)。
また、賃貸借契約の更新契約を締結した場合においても、既に提供を受けている賃貸人のマイナンバーを更新後の賃貸借契約の支払調書作成・提出事務のために利用されることがあります。
情報が一元化することで便利なことも多くありますが、その分リスクもあるとも言えるので、情報管理には気をつけたいですね。
次回は、不動産を安く購入する方法である任意売却について取り上げます。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/567
いつもありがとうございます。