調停手続による滞納家賃の回収

前回は、支払督促による滞納家賃の回収について取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/398

今回は、調停手続による滞納家賃の回収についてご説明させていただきます。

1.調停手続とは

調停手続とは、裁判所において行う、公的機関(調停委員)の斡旋により、民事上の紛争を話し合いで解決する手続です。

民事上のトラブルが起きたとき、まず当事者間で話し合って解決を試みるかと思いますが、どうしてもまとまらずお互いの主張が平行線のままで終わってしまうことがあるかと思います。

このように、相手方が話し合いに応じてくれるような場合には、調停手続を行い、当事者間の間に裁判所が選任した調停委員を挟んで話し合いをすることが適しています。

また、以前、賃料増額調停の記事でお話ししたことがありましたが、訴訟を行う前に必ず調停手続を踏まなければならない事件もあります。

賃料増額の記事→https://k-legal-office.com/blog/tinryouzougaku/162

2.調停手続のメリット

① 訴訟のように手続が厳格ではない。

訴訟を行うとなると、提出する訴状には法律の要件を満たした事項を記載しなければなりませんが、調停手続の場合は、そのような要件が緩やかにされており、申立書には紛争の要点を記載すれば足ります。

② 話し合いでの解決に適している。

訴訟は話し合いで解決しないことが見込まれる場合に採られる選択肢なので、話し合いで解決できる見込みがある場合には調停が適しています。

あくまでも、話し合いで解決を図ることを目的としているので、調停申立書に記載された内容以外の当事者間の問題についても話し合いを持つことができます。例えば、滞納家賃請求の調停の中で、将来、再び家賃を滞納した場合には立ち退くことを約束するといった内容の合意をすることも可能です。

話し合いの結果、合意ができた場合には、調停調書が作成され債務名義(強制執行をするために必要な公文書)となります。

③ 手続費用が安いこと

手数料等が訴訟の場合の約半額程度になります。

④ 時効の中断

訴訟と同様に、申し立てをした時点で時効が中断します。

3.注意点

以上のとおり説明した、調停手続ですが、注意しておかなければならない点がありますのでご説明します。

① 調停手続は申し立て等の要件は緩やかで手続も柔軟ですが、話し合いの手続であるので、相手方が調停期日に出席しない場合には、話し合いができず調停手続では解決できません。

② 調停の管轄は、相手方住所地を基準に考えますので、賃貸人の住所が賃貸物件の所在地遠方にある場合は、調停期日に出席する費用がかかってしまいます。

 

次回は、合意書・誓約書・念書等を公文書とする方法について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/410

 

いつもありがとうございます。