近隣に騒音などで迷惑をかける入居者への対応について

前回は、滞納家賃は契約者の配偶者に請求できるのか?について取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/315

今回は近隣の入居者に迷惑をかける入居者への対応について取り上げたいと思います。

1.迷惑をかける入居者への注意について

入居者の中には、共用部分の通路に通行の妨げとなるような私物を置いたり、騒音を出して風紀を乱すなどの近隣の迷惑となるような方もいらっしゃいます。そのような場合、大家さんは迷惑を被っている入居者から、「やめるよう注意してほしい。」と頼まれることがあります。

大家さんには入居者に安心して居住できるような状態で建物を使用収益させる義務がありますので、迷惑をかける入居者に対して注意しなければなりません。

2.特約違反による解除は可能か?

契約書の中には、「テレビ、ステレオ等を大音量で流し、近隣に迷惑をかけるような行為をしてはならない。これに違反した場合は賃貸人は契約を解除することができる。」とか、「庭や物置などを近隣の迷惑をかけないように使用する。」といった特約を設けることが多いようです。

しかし、このような特約を踏まえて賃貸借契約を締結したとしても、その特約に違反したからというだけでは解除することができません。その迷惑行為の結果、信頼関係が破壊されたといえるほどの事情が生じた場合に賃貸借契約を解除することができます。なお、そのような信頼関係が破壊されたという事情があるなら特約がなくても解除することも可能です。

3.騒音の程度について

アパート等で共同生活をしていれば、一定の生活音は発生するのはやむを得ないことかと思われます。そのため、入居者は一定の生活音は受忍すべきであって、お互いに迷惑をかけないようにする配慮が必要です。

そして、この生活音が受忍すべき限度を超えたとき(例えば、夜間に長時間大音量でステレオを流すなど)に特約違反行為(騒音)となります。特約違反行為(騒音)は、やむを得ない生活音か?、音を出す時間帯は昼か夜か?音量は一般的に大音量と言えるものかどうか?などといった事情によって判断することになります。

入居者がそのような特約違反行為(騒音)となる生活音を出しているため、大家さんがやめるよう注意してもなお続けるような場合は信頼関係が破壊されているとして賃貸借契約の解除が有効になると考えられます。

次回は、契約後に賃料を増額することは可能?ということについて取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/tinryouzougaku/162

 

いつもありがとうございます。