駐車場の明け渡し請求について

前回は、敷引き特約の有効性についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/shikikin-genjyoukaifuku/444

今回は、駐車場の賃貸借契約について、賃借人による賃料の支払が滞っている場合に、駐車場の明け渡し請求(放置している自動車の撤去を請求すること)をする場合について取り上げます。

流れとしては次のようになります。

1.自動車所有者の確認

原則的には自動車の所有者が土地明け渡しの相手方となるため、自動車登録番号(ナンバープレート)と車台番号を確認した上で、最寄りの陸運支局で登録事項等証明書を取得して自動車の所有者を確認します。

放置自動車でナンバープレートが外されていて自動車登録番号が分からないような場合は、自動車の外観から車台番号を確認して請求します。

反対に車台番号が分からないような場合は、自動車登録番号を確認して、自動車の写真を添付した私有地放置車両関係位置図をつけて請求します。

軽自動車の場合は、登録事項等証明書の制度がないので、軽自動車協会にて閲覧申請して所有者を確認します。

2.駐車場契約の解除

賃借人の住所が判明している場合には、目安として借り主が3か月以上賃料を滞納したら内容証明郵便によって、滞納賃料の支払いを催告し、支払がない場合には駐車場賃貸借契約を解除する旨の催告書を送付します。連帯保証人がいるのであれば、同様に催告書を内容証明郵便の方法で送付します。

賃借人の住所が分からない場合は、後記3の訴訟手続において、訴状に駐車場賃貸借契約を解除する旨を記載して、公示送達の方法により賃借人に送達することになります。

3.賃貸借契約解除後の訴訟手続

賃借人と自動車の所有者が同一人の場合は、同人を被告として、土地明け渡しと滞納賃料及び賃料相当損害金請求の訴訟を提起します。

賃借人と自動車の所有者が別々の者であれば、賃借人には滞納賃料及び賃料相当損害金請求、自動車の所有者には土地明け渡しの訴訟を提起することになります。

なお、自動車を撤去させる目的の土地明け渡しの訴訟においては、請求の趣旨に「自動車の撤去」を掲げる必要はありません。これは、強制執行の段階で、その放置自動車を目的外動産として扱い、土地の明け渡しの判決等で取り除くことができるからです。

また、土地の一区画の部分を駐車場として使用させている場合には、その範囲及び面積を図面等で明らかにしておく必要があります

次回は、放置自動車に所有権留保が設定されていたらどうする?について取り上げます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/tochiakewatashi/458

 

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