借地権の買取を求められたら

前回は、「離婚の話し合いの最中に配偶者の親族から退去を求められたら?」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/835

空き家問題の仕事に取り組んでいると、他人の土地を借りて、その土地の上に自分名義の建物を建てて占有している借地人から、

「借地上の家屋が空き家になって、今後も利用する予定もないので解体を考えています。地主に対して残りの借地の賃貸期間に応じた借地権を買い取ってもらうことはできますか?」

とよく質問を受けます。

そこで、今回は、借地人は地主に対する借地権の買取について取り上げたいと思います。

 

1.借地人は地主に対して借地権の買取を求める権利があるのか?

正確に言うと、借地人は、地主に対して、借地権の買取を求める権利はありません。

似たような権利として建物買取請求権というのがあります。

建物買取請求権についてはこちら

建物買取請求権は、

  • 存続期間が満了した場合に契約の更新がないとき
  • 借地権上の建物等が譲渡された場合において賃貸人が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないとき

に、借地人あるいは建物の譲受人が、賃貸人に対して、所有する建物を時価で買い取るべきことを請求する権利です。

 

2.「存続期間が満了した場合に契約の更新がないとき」とは?

存続期間が満了した場合に契約の更新がないときには、主に次の場合があります

  • 借地人が借地契約の更新を請求したが、地主が更新を拒絶し、正当事由がある場合
  • 借地期間満了後における土地の使用継続について、地主から有効な異議が述べられて更新が生じなかった場合

いずれも、地主が借地人による土地の使用継続を拒んでいる場合です。

一方で、借地人において期間満了で契約を終了させることを希望するなど、地主と借地人の間で合意解約する場合においては、建物買取請求権が発生するかどうかは様々な説がありますが、判例は、原則的には、発生しないとしています(最判昭29.6.11判タ41-31)。

 

3.「借地権上の建物等が譲渡された場合において賃貸人が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないとき」とは?

例えば、不動産会社が借地権付きの建物を借地人から買い取った場合、建物の所有権は不動産会社に移りますが、借地権については地主の許可がなければ譲渡・転貸することができませんので、自動的に不動産会社に借地権が移るわけではありません。

そして、この許可を得ることができなければ建物を取得しても、土地上に建物を占有する権原がないので建物を収去しなければならなくなりますので、そのような場合には、地主に対して、建物買取請求権が発生します。

また、特に承諾することで地主に不利となるおそれがないのにも関わらず、承諾しないような場合には、建物の買取に先立ち、借地人(元の賃借人)から、地主の承諾に代わる許可の裁判(「代諾許可の裁判」)を求める申立をされる場合があります。

 

空き家となるような建物は、建物が建ってから相当期間が経過している場合がほとんどで、建物価値がゼロとなってしまう場合も少なくないことから、空き家になったことを理由に、借地契約を終わらせて地主に建物を買い取ってもらうということは難しいという印象です。

 

いつもありがとうございます。

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