前回は、直ちに明け渡しを求めたいときはというテーマでブログを書きました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/karisyobun/606
今回は、外国人に借家を貸していたところ、契約の途中で鍵を返すこともなく、自分の国に帰ってしまった場合にどのようにしたらよいかについて取り上げたいと思います。
当事務所によく相談のあるケースとしては、
「外国人を入居させていたのですが、突然家賃を滞納するようになり、現在は保証会社から立て替えをしてもらっています。保証会社の担当者の方が様子を見に行っていただいたところ、荷物も全部持っていって部屋は空っぽにしているのが見えたとの事でした。電気もガスも止められているし、もう既に引き払っていると思うとのことでした。ただし、鍵を返してもらっていないので、賃貸借契約をこのままにしておいていいのかどうか分かりません。」
といったものです。
こういった場合、一般的にはその入居者の外国人から鍵の返還を受けていないので、明示ないし黙示の賃貸借契約の終了があったとは言いにくいと考えられます。
そこで、その入居者がどこに行ったかを調査するのですが、調査した結果、
転居先が分かれば、転居先を住所地として建物明け渡し請求の訴訟をすることを検討します。
転居先が分からなければ、裁判書類の公示送達をすることを前提として建物明け渡し請求の訴訟をすることを検討します。
参考→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/310
問題は、どのように調査したら良いかと、その調査の結果、転居先が母国であることが判明した場合です。
調査はまず住民票を取得して転居の届出をしているかどうかを調査することから始めます。
平成24年7月8日までは、外国人登録原票記載事項証明書というものが発行されていましたが、現在は住民票の写しによって証明されます。
そして、その住民票の住所の異動を確認しますが、これが外国であると国名までしか書いていないので、出国先の住所を調べることはできません。
そのため、出国先の住所まで調べる必要があるのであれば、法務省入国管理局が管理している出入国記録の照会をして調査することになりますが、その照会は裁判所からするため、別途申立等の手続が必要になります。
さらに、その調査の結果、出国先の住所が分かれば、そこを住所地として建物明け渡し訴訟を起こしますが、外国の住所地宛てに裁判書類の送達手続をするのはとても時間がかかり、その方法も容易ではないので一度専門家に相談して進める方が良いでしょう。
次回は暴力団関係者との賃貸借契約を避けるために必要なことというテーマでブログを書きます。
その記事→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/622
いつもありがとうございます。