賃貸借契約が解除されると転貸借契約はどうなる?

前回は、賃借人が支払った修繕費はどうなるか?ということについてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/shikikin-genjyoukaifuku/364

以前、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに、賃貸物件を無断で転貸したときには賃貸借契約の解除原因となることを取り上げたことがあります。

参考→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/146

今回は、そのこととは別に、賃借人が転貸借契約について承諾していた場合において、賃貸人と賃借人の賃貸借契約(原賃貸借契約)が解除されてしまった場合、賃借人(転貸人)と転借人の間の転貸借契約はどうなるのか?についてご説明します。

(事例)

Aは、Bに対し、平成24年12月、賃料月額6万円で賃貸家屋を貸し渡した。

Bは、Cに対し、Aの承諾を得て、平成25年1月、賃料月額8万円で賃貸家屋を転借した。

Bは、Aに対して賃料の支払を怠るようになり、滞納賃料は3か月分となった。

 

(問題点)

1.Aは、Bとの間の原賃貸借契約をBの賃料不払いを理由に解除する場合において、Cに対し、その代払の機会を与えなければならないか?

(解説)

AB間の賃貸借契約がBの賃料不払(債務不履行)を理由に解除されると、Cが有していた転借権をもってAに対抗することができなくなります。これは、転借権が賃借権の上に成立しているため、賃借権が消滅すれば、転借権も基礎を失って消滅してしまうためです。

そのため、CにとってAB間の賃貸借契約が解除により消滅してしまうことは重要な関心事になりますが、判例は、Aは、Cに対して、Bの滞納賃料の代払の機会を与える必要はないとしています。AB間の賃貸借契約関係においてCは無関係ということになります。

2.AB間の賃貸借契約が合意解除された場合はBC間の転貸借契約はどうなるか?

賃料滞納など債務不履行等の事情で法定解除された場合は1で前述したとおり、CはAに対して転借権を対抗できません。

それではこの解除がAB間の合意解除だった場合はどうでしょうか?

この場合は、Cは転借権をもってAに対抗することができるので、Cはそのまま、賃貸家屋を利用し続けることができます

これは、転貸借の期間満了までの間は、Cの賃貸家屋を利用することができるという期待を保護する必要があるため(AB間の意思だけで転貸借を終了させることを防ぐため)です。

 

次回は、承諾のある転貸借契約における転借人に対する建物明け渡し請求について取り上げさせていただきます。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/382

 

いつもありがとうございます。