解約申し入れによる賃貸借契約の終了

前回は特約(ペット飼育禁止)違反による賃貸借契約の解除についてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/148

今回は解約の申し入れによる賃貸借契約の終了について取り上げていきます。

建物の賃貸借契約においては、賃貸借期間を定めることが一般的ですが、期間が1年未満であるとき、あるいは、法定更新(期間満了後も借り主が建物を使用収益する場合に、大家さんがこれを知りながら異議を述べない場合に、従前の契約と同一の条件(期間を除く。)で賃貸借契約が更新されたとするもの)されたときは、賃貸借期間を定めなかったものとされます。

このように、賃貸借契約が期間を定めていない状態になっている場合には、民法においては、大家さん、借り主ともにいつでも解約の申し入れをすることができるとなっていますが、特別法(借地借家法)により、大家さん側からの行う解約の申し入れには、

(1)解約の申し入れ後6か月の期間が経過すること

(2)解約の申し入れ時から6か月間経過する間に、解約申し入れについて正当な理由があること

が必要です。

特にこの(2)の解約の申し入れについて正当な理由があるかという点が一番のポイントです。

この記事においては、建物の賃貸借期間の定めがない場合において、解約申し入れにより賃貸借契約を終了させて、借り主に明け渡しを求める場合について説明します。

(解説)

1.正当な理由とは

解約の申し入れの際に必要となる正当な理由とは、期間満了を原因とする賃貸借契約の終了の場合と同様に、次の点がその判断材料になります。

(1)大家さん(賃貸人)が建物の使用を必要とする事情があるか

自己又は親族が居住するため、あるいは会社の事務所として利用するために建物を使用する必要があるといった事情が必要です。

この場合、その使用の目的も重要で、どうしてもその建物に住む必要がある、その建物で事業を行わないと生計が成り立たないなどの理由があると、さらに有力な事情となります。

一方で、借り主側においても、居住あるいは事業を行う必要性があり、さらに資力の問題、家族の健康状態の問題など、どうしてもその建物を利用する必要があると、大家さんの正当理由を妨げる事情となります。

(2)建物の賃貸借に関する従前の事情

大家さんと借り主の間のこれまでの賃貸借関係に関する事情です。権利金等の支払の有無、契約期間の長さ、賃料額の相当性、信頼関係の状況などが要素となります。

(3)建物の現況

建物が老朽化し、耐震性の問題で立て替えの必要性があるなどといった事情です。

(4)明け渡しの条件として立ち退き料を支払う、あるいは、別な建物に入居させる旨の申し出をしている

この点は、正当理由を補完する事情に過ぎないため、このことだけでは正当理由があるとは認定されません。

また、解約の申し入れ時に立ち退き料の支払いを提案しなければならないというわけではなく、裁判になってから提案するものであっても可能です。

提案する立ち退き料の金額は、事案ごとにケースバイケースです。借家権価額に権利金の有無、残存期間の賃料額、引越費用、住居補償・営業上の損失補償などの費用を負担することになり、金額としては高額になるケースが多いです。

これらを総合的に判断して、借り主が賃貸借契約を建物を利用し続けること以上に、大家さん側に明け渡す必要性があることを認めてもらわなければなりません。

 

2.解約申し入れ後の大家さんの対応

大家さんが借り主に建物から退去を求めることに正当な理由があり、かつ、解約を申し入れて6か月経過した場合であっても、借り主が建物の使用を継続し続けており、大家さんから借り主に対して遅滞なく異議を述べない場合は、賃貸借契約が法定更新されてしまいますので、6か月経過直後に速やかに異議を述べるようにしてください!

次回は、連帯保証人に対する大家さんの対応について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/yachintainou/157

いつもありがとうございます。