マンションの一室の入居者が近隣に迷惑をかける場合について

前回は、マンション管理費の滞納が始まったら?ということについて取り上げさせていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/mansyonkanrihi/335

今回は、マンションの一室の入居者(区分所有者または賃借人)が、他の区分所有者の生活に迷惑をかけるようなことをしている場合にどのようなことをすることができるか?について取り上げたいと思います。

対応方法としては、

1.迷惑行為の停止、結果の除去、迷惑行為を予防するための必要措置を求める訴え

2.入居者の専有部分の使用禁止請求を求める訴え

3.当該区分建物の競売、賃貸借契約の解除、専有部分の引き渡しを求める訴え

(解説)

1.迷惑行為停止請求、結果除去請求、予防措置請求について

これらの請求は、マンションの入居者が、建物の保存に有害な行為、共同の利益に反する行為をしたり、または、そのような行為をするおそれがある場合において、管理組合の集会の決議により行うことができます。

2.専有部分の使用禁止請求について

この請求は、入居者の共同生活上の障害が著しく、上記1の停止請求等では、その障害を除去して共用部分の利用の確保そのための区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難である場合において、管理組合の集会の4分の3以上の賛成により決議された場合に行うことができます。

3.区分建物の競売請求、賃貸借契約の解除及び占有部分の引き渡し請求について

この請求は、入居者の共同生活上の障害が著しく、上記1の停止請求等のみならず、他の方法をもってしても、その障害を除去して共用部分の利用の確保そのための区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難である場合において、管理組合の集会の4分の3以上の賛成により決議された場合に行うことができます。

4.共同の利益に反する行為とは?

マンションは、専有部分と共用部分に区別されます。専有部分は入居者が自由に利用することができますが、建物管理上(1つの建物に何世帯もの入居者が生活していることなど)の理由から一定の制約があります。

共用部分は、区分所有者全員が共同して利用する部分ですので、一部の区分所有者の自由な利用は認められません。各部屋のバルコニー部分については専用使用権が認められているものの、例えば、緊急避難路としての共用性もあるため、同部分は共用部分となります。

そのため、

① 他の区分所有者の専有部分の利用を妨害する行為(例えば、壁を破壊したりして、自己の専有部分を広げたりする行為)

② 共用部分の独占利用(例えば、共用部分に物置を設置して、避難路を塞ぐといった行為)

③ 他の区分所有者が不安感・恐怖感を覚えるような行為(例えば、管理組合規約で禁止されているような、反社会的勢力の関係者との間の賃貸借契約を締結するなど)

④ その他、一般の相隣関係問題(騒音、振動、ペット飼育禁止特約の違反行為など)

などが、共同の利益に反する行為ということができます。

マンションは、他の区分所有者との共同生活との関係を無視して利用することはできないので、お互いに譲歩し合って快適な住環境に努めることが必要になってきますので、このようなことを発見したら、問題が大事になる前に、管理組合を通じて対処するようにしていった方がよいかと思います。

 

Q:区分所有者がマンションの管理費を長期間滞納している場合に、専有部分の使用禁止や区分所有建物の競売を行うことはできますか?

A:管理費の長期間の滞納は、「共同の利益に反する行為」であり、かつ、「その障害の程度が著しいもの」ということができますが、「他の方法によっては障害を除去することができないこと」という条件を満たすために、他の債権回収の方法でも回収が困難であることを証明しない限り使用禁止請求や、競売請求はできないことが予想されます。

 

次回は、借地契約において地代を滞納された場合について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/348

 

いつもありがとうございます。