前回は、仮処分命令の申立の際に納める供託金の払い戻しについてブログを書きました。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/karisyobun/629
建物の老朽化に伴い建物の解体を考えているため、入居者の立ち退きを考えているというオーナー様から相談があり、建物明け渡し訴訟を提起していました。
その賃貸借契約は、定めていた賃貸借期間が満了し、その後入居者の方が、更新契約に応じていただけなかったことから同じ内容で賃貸借契約が法定更新され、期間の定めのない賃貸借となっていました。
入居者の方は家賃滞納はなかったため、一般の賃貸借の解除をすることができなかったため、賃貸人がその建物を利用したいとする正当事由(老朽化に伴い建物の解体の必要性)があることを根拠に、事前に解約の申し入れをして6か月以上経過した上で訴訟を提起しました。
解約の申し入れについてはこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/152
この事案は、賃貸人がその建物を利用したいとする事情(正当事由)と賃借人がその建物を利用したいとする事情(正当事由)の比較と、立ち退き料、信頼関係の破壊の有無などがポイントとなった事案でした。
私は賃貸人の代理人として出頭して、賃貸人の正当事由(建物老朽化に伴い解体を考えていること、現状のままだと風災などにより看板、網戸などが外れ、近隣あるいは通行人に危害を加えるおそれがあること)があることを主張しました。
このような事案は、一般的には賃貸人側が不利になることが多く、さらに今回の賃借人は居住用だけではなく事業としても建物を利用していたということもあり、判断がどうなるかと思っていましたが、過去に風災でニュースになったこともあるエリアだったりしたことも影響したのか、正当事由があり、有効に賃貸借契約が終了していることが認められ、勝訴判決を得ることができました。また無事に判決も確定しました。
問題はこの後に入居者の方がスムーズに退去してくれるかどうかが問題なのですが・・・
やはり、事業目的で建物の賃貸借契約をするなら、その建物の築年数によっては定期借家契約をしておいた方が無難だと感じました。
次回は、東京司法書士会中野支部で建物明け渡し請求の研修講師をしてきたことについてのレポートについて書きたいと思います。
その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/seminar/646
いつもありがとうございます。