サブリース契約の期間が満了した場合、契約を終了できるか?

前回は、借り主に相続人がいない場合の取り扱いについてご説明させていただきました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/297

今回は、不動産業者が土地の所有者の建築した建物において転貸事業を行うため、土地建物の所有者とサブリース契約を締結していた場合に、契約期間が満了することでサブリース契約を終了させることができるかということについてご説明します。

(回答)

この場合、期間満了を理由として賃貸借契約を終了させる場合と同様に借地借家法28条を適用し、期間満了の1年前から6か月までの間に相手方に対して更新拒絶の通知を行うことのほか、賃貸人が建物の使用を必要とする事情等の正当事由が必要になります。

(解説)

1.サブリース契約とは

不動産業者が土地所有者の建築した建物において転貸事業を行うため、あらかじめ両者間で賃貸期間等についての協議を調え、土地所有者が協議の結果を前提とした収支予測の下、融資を受けて建物を建築し、不動産業者がその建物を一括して賃借することを内容とした賃貸借契約です。

サブリース契約により、土地建物の所有者は、空室リスクを不動産業者に転嫁し、安定的な賃料収入が見込めます。一方、不動産業者もその建物を転貸することで、入居者から得られる転貸料と土地建物の所有者に支払う賃料の差額の利益を得ることができます。

2.サブリース契約に対する借地借家法の適用

裁判所は、サブリース契約も賃貸借契約であるとして、サブリース契約に借地借家法の適用を認めています(サブリース契約の賃料増額請求につき借地借家法の適用を認めた判例 最高裁平成15年10月21日判決)。個人と不動産業者の間のサブリース契約ばかりでなく、事業者と事業者の間のサブリース契約においても借地借家法の適用があるとしています(札幌地裁平成21.4.21判決参照)。

そのため、サブリース契約を期間満了で終了させる場合には、借地借家法28条により、更新拒絶通知のほか、正当事由が必要です。

この正当事由は、土地建物の所有者がその建物を利用する必要性と不動産業者がその建物を利用する必要性を比較衡量したり、立ち退き料の支払いの申し出があるなどの諸事情を考慮して判断されますが、一般的にサブリース契約は建物一棟の賃貸借契約が多く、所有者がその一棟の建物を利用する必要性が高いと判断されにくいため、正当事由があると認められるケースは多くはありません。

正当事由が認められないといった事態を避けるためにもサブリース契約時においても、定期借家契約を締結しておくことを検討しておく必要があると言えます。

 

次回は、後継ぎ遺贈とは?について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/minnjishintaku/306

 

いつもありがとうございます。