競売不動産の名人藤山勇司先生のセミナーで講師をしてきました。

平成29年7月8日に東京都千代田区の神田エッサムホールにて行われました、競売不動産の名人藤山勇司先生が開催する「ゼロから学べる初心者のための不動産投資入門セミナー」において、「明け渡し相談事例から見る 賃貸借契約時の注意点について」というテーマでセミナーをさせていただきました。

その模様はこちら

今回は,当事務所に相談のあった事例をもとに,入居希望者が現れ,賃貸借契約を交わすことになった場合や,契約途中の更新契約時において,どのような点に気をつけておくべきかを解説させていただきました。

今回からは,私の方から具体的な問題を出して,受講生どおしでディスカッションしてもらうことにしました。その後,何名かの方に気がついた問題点や注意点を回答していただきました。

受講生どおしの検討は様々な意見が飛び交っていて,新しい発見があったことと思います。

このセミナーの受講生の皆さんは、何かあった場合に保証会社・管理会社任せにせず、自分で判断して対応できるよう私のセミナーを真剣に聞いてくださいました。

また、藤山先生のセミナーにも参加させていただいたのですが、藤山先生は不動産競売で入札して落札させるテクニック、物件の目利き、入居者対応だけでなく、民事執行法の知識が法律の専門家並みにしっかりしていて、セミナーの内容に私自身とても勉強させられることが多く、とても驚かされました。

これから不動産競売で物件を取得して、「不動産投資を始めてみたい!」という方には、藤山先生のセミナーを受講されることをオススメします。

藤山先生は不動産投資に関する多くの書籍を出しておりますので、興味がある方は一度読んでみてください。

いつもありがとうございます。

この記事を読んで「自分のケースならどうなるか知りたい」という方は、相談予約フォームからお問い合わせください。

法人成りによる相続対策と事業承継について

前回は、法人成りして法人税の課税方式に代えて節税を考えましょうというテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/995

今回は前回の続きで、相続対策と事業承継の点について取り上げたいと思います。

1.所得の分散による相続対策

相続税は、所有者の相続が始まった時点での遺産が多ければ多いほど多額になります。

相続税対策を考えるなら、生前に相続時に遺産を多く残さないようにすることが必要です。

例えば、不動産事業を個人事業から法人成りして、自らを法人の代表者として、家族をその法人の役員や従業員として、役員報酬あるいは給与等の形で不動産事業の所得を分配します。

その結果、元々、不動産の所有者だった個人に相続が生じた場合には、相続時における遺産は少なくなっていることから、相続税もそれにあわせて少なくなります。

2.法人成りすることで経費化しやすくなる。

家族を法人の役員や従業員にしたとして、その者らに対して支払う役員報酬や給与は、経費として認められている点も、法人税の節税の観点から有効です(額が多すぎる場合は認められない場合もあります。)。

給与を受け取る者にとっても、給与所得者控除が認められている点(給与等の収入金額から一定額を控除した部分について課税がされる。)で、メリットがあります。

さらに、個人事業では認められない退職金についても、法人成りして退職金として支払うなら経費として認められます(受け取る者にとっても、一定額までは退職所得控除が認められるため、所得税を抑えることができるというメリットがあります。)。

3.基礎控除額の減額

税制改正により、2015年1月から遺産にかかる基礎控除額が引き下げられました。

従前は、

基礎控除額「5,000万円」+「1,000万円」×法定相続人の数

という計算式によって基礎控除額が求められたのに対して、

現在は、

基礎控除額「3,000万円」+「600万円」×法定相続人の数

という計算式で基礎控除額が算出されるようになりました。

例えば、ご主人が亡くなり、法定相続人が奥様、子供二人のケースでいえば、

従前は、5,000万円+(1,000万円×3)=8,000万円まで基礎控除額が認められたのに対して、

現在は、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円までが基礎控除として認められる金額となります。

このように基礎控除額を超え、相続税が課税される範囲が広がったことからも、生前中に相続時に遺産を多く残さないようにすることが大切です。

4.遺産分割協議の長期化回避と事業承継の容易性

不動産を個人名義で所有したまま、所有者がお亡くなりになり相続が開始すると、相続人間で「遺産をどのように分割するか。」という遺産分割協議をしなければなりません。

預金などと違い、不動産は簡単に分けることができないので遺産分割協議がまとまらず、家裁に遺産分割調停を申し立てるケースも少なくありません。

しかし、相続税の申告や納付は、相続があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

遺産分割協議がまとまっていないことを理由に相続税を納めないなら、延滞税を支払わなければならなくなります。

遺産分割協議がまとまっていないまま申告する場合には、「配偶者の税額の軽減」「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができません(遺産分割がまとまった段階で、更正の請求を行うことで適用される場合があります。)。

このように不動産を個人で所有したままにしておいたことが原因で、相続人間でもめてしまったり、支払わなくてよい延滞税を支払う必要が生じてしまったり、受けることができた特例が受けられなくなったりするなど誰も得をしないケースが生じる場合があります。

この点、例えば、不動産を株式会社名義にしておけば、元々の所有者に相続が生じても、不動産の所有名義が変わるわけではないので、相続人のうちの誰が新たな不動産の所有者となるかとの点では問題が生じないことになります。

遺産についても、元々の所有者が持っていた株式会社の株式となり、不動産に比べて分割しやすくなるので、株式会社の事業承継は容易なものとなります。

 

いつもありがとうございます。

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不動産事業を法人成りして節税をしましょう!(所得税と法人税)

近年、不動産事業の法人化が進んできていると感じます。

不動産事業の法人化とは、

新たに取得する不動産を法人名義とする。

あるいは

個人所有不動産を法人所有へ切り替える。

ことをいいます。

今回は、不動産事業の法人化の特徴について取り上げさせていただきます。

 

1.なぜ不動産事業の法人化をするのか?

不動産事業の法人化の目的は、節税と事業承継です。

具体的には、

① 収入について、所得税で課税されていたものを法人税で課税される仕組みを作り、負担を少なくする。

② 個人の所有者に相続が生じた場合に、遺産である不動産を誰が取得するかという点でもめて、遺産分割協議に時間を要することになることを避ける。

③ 資産が不動産から、株式等の形に変わる方が事業承継しやすくなる。

このような点でメリットがあります。

今回は、①の所得税と法人税の点について説明します。

2.所得税について

個人名で不動産を所有し、個人名で不動産事業をしている場合に、不動産所得(家賃収入、不動産売買の損益)を得ると、所得税が課税されます。

さらに分けると、不動産所得が家賃収入の場合は、給料などの本業から得た収入と合算して申告することになります(これを総合課税といいます。仕組みは、(収入ー費用)×税率(累進課税)となります。)。

不動産所得が不動産売買の損益の場合は、本業から得た収入とは分離して申告することになります(これを分離課税といいます。仕組みは、売却益×税率となります。転売差益を得る目的で、短期間しか所有していない場合は税率が高くなります。約5年くらい所有してから売却する方が税率が低くなります。)。

このように個人は、所得の種類(家賃収入か、不動産売買の損益か)によって課税方式が異なります。

3.法人税について

一方、法人名で不動産を所有し、法人名で不動産事業(賃貸経営)をしている場合に、不動産所得(家賃収入)を得ると、法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税)が課税されます。

法人税は総合課税のため、所得の種類の区別無く、決算期ごとに損益を合算し、合計額に一定の税率を乗じて課税額が決まります。

不動産売買の損益についても、個人と異なり分離課税方式が採られないので、短期売買目的だったかどうか(一定期間(約5年間)所有していたかどうか)によって税率が変わるということがなく、損益を通算できるメリットがあります。

 

4.法人成りの目安

所得税は収入が多ければ多いほど税率が高くなるため、一定のライン(不動産事業のみで年収1000万円程度を目処)を超えると、同じ所得額でも所得税より法人税で課税された方が課税額が低くなる場合があります。

家賃収入を含め収入が多くなるまでは、個人所有で個人事業主として不動産事業をしていた方が良いですが、規模が大きくなったら、法人成りして、個人所有不動産を法人名義にして、不動産事業を法人化した方が良いでしょう。

以上は、一般的な場合の説明ですので、個々のケースによっては、以上とは異なる取り扱いになる場合があります。詳しくは税理士等の専門家にご確認ください。

 

いつもありがとうございます。

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建物明け渡しの実務に関するコンテンツ販売を始めました!

士業の先生、あるいは、関係する専門家の先生の実務サポートのために、コンテンツを提供している株式会社レガシィ様において、当事務所の司法書士片桐が解説する、建物明け渡しの実務 賃貸トラブル専門の司法書士が実践する訴訟も見据えた解決策」というタイトルのコンテンツを販売することになりました!

商品の詳細はこちら

家賃滞納トラブルで悩んでいる方から、相談を受けた際に、

① どのようなことを確認すべきか?

② 相談後、どのような手続をするか?その手続をする際に気をつけなければならないことは何か?

③ 話し合いで解決する際のポイント

④ 訴状作成とその注意点

について解説しております。

内容的には、初めて建物明け渡し請求手続、滞納家賃請求手続を行う士業の先生、専門家の先生向けに解説しております。

興味のある方は、ぜひご視聴いただければ幸いです。

 

いつもありがとうございます。

競売不動産の名人藤山勇司先生のセミナーで解決事例を発表してきました。

平成29年2月11日に東京都千代田区の神田エッサムホールにて行われました、競売不動産の名人藤山勇司先生が開催する『藤山勇司の「やさしい不動産投資」実践スクール』の授業の一枠において、「不動産購入後の管理について」というテーマでセミナーをさせていただきました。

その模様はこちら

今回は、解決事例をもとに、注意や催促をしても全然応答がない問題入居者に対してどのように接していくべきかと、解決手順について講義させていただきました。

賃貸人自身、不動産管理会社、保証会社などが口頭や書面で注意や催告をしても、賃借人から全く応答が無い場合はそれを続けていても平行線で終わり問題解決しない場合が多いです。

特に賃貸人自身が直接行うと感情が入ってしまい、話し合いで解決できる事案なのにかえって解決困難にさせてしまっている場合も多いです。

そのような場合に、問題解決に向けてどうやって賃借人からアクションを起こしてもらうかについて解説し、このセミナーに参加された受講生の皆さんは、その対応手順について真剣に聞いてくださいました。

また、私のセミナーの前に藤山先生が講師を務めるセミナーにも参加させていただいたのですが、藤山先生は不動産競売で入札して落札させるテクニック、物件の目利き、入居者対応だけでなく、民事執行法の知識が法律の専門家並みにしっかり把握されていて、セミナーの内容に私自身とても勉強させられることが多く、とても驚かされました。

これから不動産競売で物件を取得して、「不動産投資を始めてみたい!」という方には、藤山先生のセミナーを受講されることをオススメします。

藤山先生は不動産投資に関する多くの書籍を出しておりますので、興味がある方は一度読んでみてください。

いつもありがとうございます。

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サブリースにおける賃料減額リスクの説明義務について

前回は、低所得者向けの空き家の活用というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/865

以前、「相続対策としてのアパート建設は本当に有効?」というテーマで記事を書いた際にも触れましたが、近年、相続対策として預貯金等の現金をそのまま残したまま相続が発生してしまうと高額の税金がかかってしまうので、遊休地にアパートを建設したり、賃貸用高層マンションをを購入したりするなど、現金を物に変えておいて、相続が生じた場合にかかる税金が低額になるように節税対策をするということが行われています。

遊休地にアパートを建設した場合には、大家さんは直接店子から賃料を得る場合はともかく、不動産会社などから、「アパート収入は年金の足しになる。」、「サブリース契約をするから満室でなくとも賃料は保証する。」といった提案を受けて、サブリース契約をした場合には注意が必要です。

どのようなことに注意が必要かというと、不動産会社の「満室にならなくとも賃料は保証する。」という提案を信じて建設に至っているのに、実際にアパートを建設をして入居者募集をかけても、ほとんど満室にはならないため、その賃料保証額の減額の提案を受けているという点です。

賃料額の改訂がされて保証額が減額になるということについて説明がなく、そのようなことが契約書に盛り込んであったことを確認しなかったことによるトラブルになります。

中には、サブリース契約を解約して、借金と空室率の高いアパートが残ってしまったという方もいるようです。

このようなトラブルが多いことから、「国土交通省は『将来は家賃が減る可能性がある。』との説明を賃貸住宅管理業者に義務づける制度改正を決めた。」というニュースがありました。

この制度改正が実現すれば一定のトラブル予防にはなると思いますので、早期の実現を期待したいところです。

それでも、不動産を購入するなど大きな買い物をする場合には、事前に契約書の写しをもらってじっくり読み込み、気になる点については専門家に相談して、契約書リスクチェックを行ってから契約に臨むべきだなと思いました。

いつもありがとうございます。

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低所得者向けの空き家の活用

平成28年7月22日、年々増えている空き家を有効活用するために、国土交通省が、低所得者向けに空き家を貸し出し、建物の所有者にはその賃料の一部を補助する方針を固めたというニュースがありました。

以下の図のような仕組みとなるようです。

空き家活用

1.空き家を貸し出すメリット

(1)賃料収入を得ることができる。

今後、法整備がされてこのような活用方法が実施されれば、空き家の所有者は、建物を空き家のままにしておくのではなく、貸し出して賃料収入を得ることができるのでメリットがあります。

実際、空き家のままにしておこうと、使用されていようと、固定資産税・都市計画税は課税されるので何かしらの収入があった方が税金を補填できます。

特に解体費用を捻出できない場合や、一度解体してしまったら再建築することができないという建物においては、メリットが大きいのではないでしょうか。

賃料の一部を自治体が補助してくれるので、その範囲においては家賃滞納のリスクがないのもメリットです。

(2)建物の老朽化を抑止することができる。

建物は空き家のままにしておくと老朽化が進みます。特に木造の場合は風通しが悪いため湿気が溜まりますので急速に老朽化します。

空き家を放置した結果、雨漏りやシロアリといった問題に気がつかずに建物が倒壊したり、動物の住処・虫の発生源となってしまい、近隣の住民に危害を及ぼす可能性すらあります。

そのため、空き家にしておくより誰かに使用してもらっていた方が老朽化しにくく、また、管理の手間も省けます

(3)安い賃料で物件を借りることができる。

賃借人にとって、相場より安い賃料で物件を利用できるのでメリットがあります。

 

人口が都市部に集中し、地方は人口減少傾向にあるので、空き家問題は地方の方が深刻ですが、このような運用がされることで、少しでも空き家問題が解消されれることを願うばかりです。

次回は、「サブリースにおける賃料減額リスクの説明義務」について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/876

いつもありがとうございます。

この記事を読んで「自分のケースならどうなるか知りたい」という方は、相談予約フォームからお問い合わせください。

競売不動産の名人藤山勇司先生のセミナーで講師をしてきました。

前回は、「借地権の買取を求められたら」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/846

7月2日に東京都千代田区の神田エッサムホールにて行われました、競売不動産の名人藤山勇司先生が開催する「ゼロから学べる初心者のための不動産投資入門セミナー」において、「不動産購入後の管理」と「滞納入居者・問題入居者との接し方」というテーマでセミナーをさせていただきました。

その模様はこちら

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私の方は、不動産を取得して賃貸経営を始めて、入居者による家賃滞納が生じてしまった場合に、どのような立ち振る舞いをすべきかということと、滞納時の注意点(慌ててやってはいけないこと)について説明させていただきました。

家賃滞納があっても保証会社をつけているから、滞納があっても安心と思っている大家さんも多いかと思います。

しかし、その保証会社が倒産してしまったり、あるいは、無理な取り立てや法律に違反するようなことをした場合には、その責任が大家さんに来る可能性もあります。

このセミナーの受講生の皆さんは、何かあった場合に保証会社・管理会社任せにせず、自分で判断して対応できるよう私のセミナーを真剣に聞いてくださいました。

また、藤山先生のセミナーにも参加させていただいたのですが、藤山先生は不動産競売で入札して落札させるテクニック、物件の目利き、入居者対応だけでなく、民事執行法の知識が法律の専門家並みにしっかりしていて、セミナーの内容に私自身とても勉強させられることが多く、とても驚かされました。

これから不動産競売で物件を取得して、「不動産投資を始めてみたい!」という方には、藤山先生のセミナーを受講されることをオススメします。

藤山先生は不動産投資に関する多くの書籍を出しておりますので、興味がある方は一度読んでみてください。

 

次回は、低所得者向けの空き家の活用についてブログを書きます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/865

いつもありがとうございます。

この記事を読んで「自分のケースならどうなるか知りたい」という方は、相談予約フォームからお問い合わせください。

借地権の買取を求められたら

前回は、「離婚の話し合いの最中に配偶者の親族から退去を求められたら?」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/835

空き家問題の仕事に取り組んでいると、他人の土地を借りて、その土地の上に自分名義の建物を建てて占有している借地人から、

「借地上の家屋が空き家になって、今後も利用する予定もないので解体を考えています。地主に対して残りの借地の賃貸期間に応じた借地権を買い取ってもらうことはできますか?」

とよく質問を受けます。

そこで、今回は、借地人は地主に対する借地権の買取について取り上げたいと思います。

 

1.借地人は地主に対して借地権の買取を求める権利があるのか?

正確に言うと、借地人は、地主に対して、借地権の買取を求める権利はありません。

似たような権利として建物買取請求権というのがあります。

建物買取請求権についてはこちら

建物買取請求権は、

  • 存続期間が満了した場合に契約の更新がないとき
  • 借地権上の建物等が譲渡された場合において賃貸人が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないとき

に、借地人あるいは建物の譲受人が、賃貸人に対して、所有する建物を時価で買い取るべきことを請求する権利です。

 

2.「存続期間が満了した場合に契約の更新がないとき」とは?

存続期間が満了した場合に契約の更新がないときには、主に次の場合があります

  • 借地人が借地契約の更新を請求したが、地主が更新を拒絶し、正当事由がある場合
  • 借地期間満了後における土地の使用継続について、地主から有効な異議が述べられて更新が生じなかった場合

いずれも、地主が借地人による土地の使用継続を拒んでいる場合です。

一方で、借地人において期間満了で契約を終了させることを希望するなど、地主と借地人の間で合意解約する場合においては、建物買取請求権が発生するかどうかは様々な説がありますが、判例は、原則的には、発生しないとしています(最判昭29.6.11判タ41-31)。

 

3.「借地権上の建物等が譲渡された場合において賃貸人が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないとき」とは?

例えば、不動産会社が借地権付きの建物を借地人から買い取った場合、建物の所有権は不動産会社に移りますが、借地権については地主の許可がなければ譲渡・転貸することができませんので、自動的に不動産会社に借地権が移るわけではありません。

そして、この許可を得ることができなければ建物を取得しても、土地上に建物を占有する権原がないので建物を収去しなければならなくなりますので、そのような場合には、地主に対して、建物買取請求権が発生します。

また、特に承諾することで地主に不利となるおそれがないのにも関わらず、承諾しないような場合には、建物の買取に先立ち、借地人(元の賃借人)から、地主の承諾に代わる許可の裁判(「代諾許可の裁判」)を求める申立をされる場合があります。

 

空き家となるような建物は、建物が建ってから相当期間が経過している場合がほとんどで、建物価値がゼロとなってしまう場合も少なくないことから、空き家になったことを理由に、借地契約を終わらせて地主に建物を買い取ってもらうということは難しいという印象です。

 

いつもありがとうございます。

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離婚の話し合いの最中に配偶者の親族から退去を求められたら

前回は、「離婚の話し合いの最中に夫婦の一方が所有する家に住むことはできるのか?」というテーマでブログを書きました。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akewatashi/831

前回に引き続き、離婚協議に伴い、同居していた建物からの立ち退きに関するトラブルについて取り上げたいと思います。

今回は、配偶者の所有する建物ではなく、配偶者の両親などの親族が所有する建物に夫婦で居住していたところ、夫婦間で離婚協議が行われることになった場合に所有者である配偶者の親族から立ち退きを求められた場合について取り上げます。

〈事例〉

私(夫)は、妻と一緒に妻の父が所有する家に同居していましたが、このたび妻と離婚することになり、その話し合いの最中において、妻の父が私に直ちに家から立ち退くよう求めています。

この場合に、私は妻の父の要求に応じて直ちに立ち退かないといけないのでしょうか?

 

〈結論〉

過去の裁判例において、夫婦間の離婚協議中に使用貸借契約の解除を理由として無条件に即時明け渡しを求めることは、権利の濫用という意味で時期尚早であり、解除の意思表示の効力は夫婦関係の解消によって確定的に生じると判断されています。

 

〈解説〉

1.事例において、夫が妻と一緒に妻の父が所有する家に同居することは、妻の父との関係では使用貸借か?

使用貸借が何かについては、前回の記事で取り上げましたのでそちらをご確認ください。

この事例において、夫が妻と婚姻期間中に妻の父の所有する家に同居することは、夫と妻の父の関係は使用貸借契約に該当します

 

2.夫は、妻の父の所有する家からはいつ立ち退かなければならないか?

配偶者の親族の所有する家において夫婦が同居する場合に、使用期間や使用目的を定めていないことが一般的ですので、上記事例でいう夫(借り主)と妻の父(貸し主)との関係が使用貸借契約だとすると、法律上、妻の父はいつでも夫に使用貸借契約を解除して夫に立ち退きを求めることが可能となり、夫はこれに応じなければならないということになります。

しかし、裁判例においては、夫婦間で離婚訴訟が係属している場合に、配偶者の親族から使用貸借契約の解除をされた場合には、借り主にとって酷であるので、権利濫用の意味で時期尚早であるとして、その解除の効力を離婚訴訟の判決が確定して、夫婦間の婚姻関係が解消したときに解除の効果が確定的に生じるとしています。

この裁判例の趣旨からすると、本件の事例の場合でも同様の事が考えられ、夫は妻の父からの立ち退き要求に直ちに応じなければならないというわけではなく、正式に離婚が成立するまでは立ち退きの義務は生じないと考えられそうです。

 

次回は、「借地権の買取を求められたら」というテーマでブログを書きます。

その記事はこちら→http://k-legal-office.com/blog/akiyamondai/846

 

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