民法改正による敷金と原状回復請求の明文化について

前回は、賃貸物件の現況調査について取り上げました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/karisyobun/495

現在、平成27年3月31日に閣議決定されました民法改正案について審議がされています。

今回は、その民法改正案の中で敷金と原状回復請求について明文の規定を置く改正が検討されていますので、そのことについて取り上げてみたいと思います。

1.敷金について

現在の法律では、敷金という文言を用いた規定はありますが、その要件、性質、権利義務については具体的に定めていません。そのため、敷金に関する事項については判例においてルールが定められてきました。

例えば、

①敷金の定義

敷金は、借家人の賃料など賃貸借の債務を担保するために貸主に交付される金銭であること

②敷金の充当関係

滞納家賃など賃貸借契約終了前に賃借人について債務が生じた場合に、その預かっている敷金をもって充当することができること

そして、その充当を賃借人側から請求できないこと

③敷金返還請求権の具体的発生時期

敷金返還請求は、賃貸借終了後、目的物の明渡時において、それまでに生じた延滞賃料や損害賠償額等、一切の被担保債権を控除しなお残額があることを条件として、その残額につき発生するものであること

④オーナーチェンジがあった場合の敷金返還請求の相手方について

オーナーチェンジがあった場合の敷金関係は、旧賃貸人から新賃貸人に移転することから、新賃貸人に対して敷金返還請求をすること

などです。

これらの事項については、以前まとめた記事がありますので参考にしてみてください。

(参考記事)

敷金の定義、充当関係、敷金返還請求権の具体的発生時期について

オーナーチェンジがあった場合の敷金関係について

2.原状回復請求について

原状回復請求についても敷金と同様に判例において、通常損耗は賃貸人負担、通常使用を超える損耗については賃借人負担とルールが定められてきましたが、この点も民法改正により明文化されることが検討されています。

原状回復に関する参考記事→原状回復費用について

民法改正によって、敷金あるいは原状回復請求をめぐるトラブルが少なくなることを期待するばかりです。

 

次回は、建物買取請求権について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/akewatashi/511

いつもありがとうございます。