東京司法書士会中野支部で建物収去土地明渡請求の研修講師をしてきました。

平成29年11月9日に、東京司法書士会中野支部主催の研修において、建物収去土地明渡請求のセミナー講師をして参りました。

研修の模様の写真です。多くの方にご参加いただきました。

1.研修のメインテーマは,借地上に建っている老朽化した空き家の解体について

近年,所有者不明の空き家が増えており,行政の方で「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく代執行により空き家を解体したなどというニュースをよく耳にします。

これは空き家のまま放置することで,建物が老朽化して倒壊のおそれがあったり,衛生上有害となるおそれを避けるための措置です。

このような空き家問題が増えているのは,日本の人口は減少しているにも関わらず,築年数が相当期間経過した建物を解体することなく,新築の建物を建てるため,建物の需要と供給のバランスが保てていないことが原因と言われています。

若い人は成人すると実家から出て,独立して新しい家に移り住むことが多いですから,実家は空き家になっていきます。

今回の研修では,借地上に建っている建物に誰も住んでおらず,老朽化した空き家になっているので,その建物を収去して土地を返してほしいという事例を基に,どのような手続を踏んで解決していくかをお話しさせていただきました。

2.まずは建物の所有者を確認しましょう

借地契約となると,長期間の契約期間であることが多いので,契約自体も相当古く,その間に賃借人,連帯保証人の相続が生じて代替わりが起きていることがあります。

しかし,賃借人の相続が生じたとしても,新たに契約を取り交わすこともなく,従前の契約のままにしていることが多いです。

そのため,現在の建物の建物の所有者は誰なのか,実際に住んでいるのは誰なのかが分からない場面が出てきます。

そうしている間に,いつの間にか建物には誰も住まない空き家になっていて,管理もされていないので,動物や虫の住処となってしまい,近隣の方から苦情を受けることで初めて気がつくということがあります。

まずは,空き家となっている建物の登記事項証明書を取って所有者を確認しましょう。

次に登記事項証明書の所有者の相続関係を調査して,相続人に連絡を取って話し合いをしてみましょう。

3.話し合いで解決しなかったり,相続人が分からない場合は

話し合いで解決しなかったり,建物の所有者を調査した結果,相続人の居場所が分からない場合などは,建物収去土地明渡請求の手続を検討することになります。

この手続は,訴訟手続をして,建物収去土地明け渡しの判決(あるいは和解)をもらい,その判決(あるいは和解)に基づいて強制執行の申し立てを行い,建物を収去して土地の明け渡しを実現する手続です。

この手続も時間がかかりますので,賃借人側において動いてくれないような場合は,倒壊により危険を避けるためにも,早期に手続をすることを検討していただく方が良いかと思いました。

今回の研修が受講者の方の実務において役立てていただければ幸いです。

そして、このような研修の機会を与えていただいた東京司法書士会中野支部の皆様には感謝しております。

いつもありがとうございます。