建物明け渡しの強制執行手続をしてきました。

前回は、「固定資産税を払うならnanacoで払ってクレジットカードのポイントを獲得しよう。」ということについて書きました。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousankeiei/519

ところで、先日、依頼を受けていた建物明け渡し請求の事案で、建物明け渡しの強制執行手続に立ち会ってきました。今回はそのレポートをしたいと思います。

家賃を約1年3か月ほど滞納していた事案だったのですが、大家さんから依頼を受けてから催告書を内容証明郵便で送ったものの、受け取ることもなく郵便物は返還され、一切話し合いの余地がありませんでした。

そのため、やむなく訴訟を提起しましたが、訴訟の最中も入居者は訴状副本を受け取ることもなく、判決が出されてもなお、一切の連絡もありませんでした。

そのため、話し合いで解決することも困難で待っていても滞納賃料がかさむだけなので、建物明け渡しの強制執行を進めることにしました。

明け渡し催告期日に、執行官、証人、執行補助者、依頼者、仲介不動産業者の立ち会いのもと、執行場所である建物所在地に臨場しました。

執行官はドアをノックし、「○○さん、裁判所です。」「○○さん、いらっしゃいませんか?」と声をかけるも反応なし。

そこで、執行補助者の解錠技術者の方に、玄関ドアを解錠していただき、建物内へ入室したところ、入居者は留守でしたが、執行官は、部屋の状況から入居者の占有を認定し、

「本日、明け渡しの催告をしたこと」

「占有の移転が禁止されること」

「引き渡し期限が切れるまでに占有を移転したときは、新しい占有者に対しても強制執行をすること」

「明け渡しの強制執行は○月○日(引き渡し期限)に実施すること」

などが記載された公示書を玄関入り口に貼り付けました。

その後、入居者から、玄関入り口に貼り付けられた公示書を見て何らかの連絡があるかなと期待していたものの、引き渡し期限まで何らの連絡もなく、強制執行実施日を迎えることになりました。

強制執行実施日当日、執行官が明け渡し催告期日と同様にドアをノックし呼びかけるものの、一切応答せず。解錠技術者の方にドアを開けてもらって居室内に入室したところ、公示書は剥がされていて丸めて捨ててありました。

部屋の状態は、明け渡し催告期日と大差ない状態で荷物がそのまま残っていたので、引き渡しを済ませるために執行補助者の方に搬出作業を進めていただき、目的外動産は動産執行の例にならい、別の保管場所に保管して後日売却手続をすることになりました。

この件に関して、着手してから明け渡しまで約半年の期間がかかりました。この期間も賃料を得ることはできませんし、執行手続費用もかかってしまいました。

これは私の経験上ですが、当初から入居者の連絡が一切ないケースは強制執行に至るケースが多いように思います。そのため、大家さんの方には、入居者との話し合いによる解決のためにも、賃貸物件からの収益力を確保するためにも、家賃滞納が始まったら速やかに対応することをお勧めします。

 

次回は、収益物件の実質利回りの計算について取り上げたいと思います。

その記事はこちら→https://k-legal-office.com/blog/fudousantoushi/532